建設会社も建設コンサルタント会社も、今が頑張りどころです。主要企業は、東日本大震災の復旧・復興事業に力を注ぎつつ、復興後の国内公共事業の減少を見据えて新たな事業拡張策を模索しています。現在の戦い方が、5年後、10年後の勢力図を左右すると言っても過言ではありません。

 日経コンストラクション9月10日号の特集は「震災後の戦い方」と題し、震災復旧・復興に注力しながら国内公共市場の再縮小に備える各社の動きを追いました。毎年恒例の企画である「建設会社・コンサルタント決算ランキング」の一環です。

日経コンストラクション2012年9月10日号特集「震災後の戦い方」より
日経コンストラクション2012年9月10日号特集「震災後の戦い方」より

 復旧・復興事業に対する取り組み方ひとつをとっても、各社のスタンスは違います。例えば、建設コンサルタント会社の2011年度の売上高ランキングで、近畿地方の14位に入ったアスコ(大阪市)は、東日本大震災の発生直後に東北支店を開設しました。近畿地方の売上高比率が82%の同社は、東日本への拡張戦略の一環として復旧業務を受注し、11年度に2億円を売り上げました。

 7月9日号の特集「人海戦術の現実」で紹介したように、オリエンタルコンサルタンツは震災後の人手不足を受けて、被災地の建設コンサルタント会社とJVを組んで業務を受注し始めました。生産体制の強化も見据えており、地元企業との連携は他地域でも進めていく方針です。

 もちろん、国内公共事業の再縮小をにらみ、民間や海外の市場開拓を強化しようとする動きも活発です。海外受注を伸ばすために注力する国や地域を尋ねたところ、各社の回答が最も多かったのは、建設会社と建設コンサルタント会社の双方ともベトナムでした。2番目に多かったのが、ともにインドネシア。3番目は建設会社がシンガポール、建設コンサルタント会社がミャンマーです。1番目のベトナムと2番目のインドネシアは想定内ですが、建設コンサルタント会社でミャンマーが早くも3番目になったことは注目されます。ミャンマーの民主化の進展を受けて日本政府が表明した円借款の再開によって、政府開発援助(ODA)などのインフラ整備事業が拡大することを期待してのことでしょう。

 アスコという建設コンサルタント会社のくだりで、「近畿地方の14位」とさりげなく書きましたが、今年の日経コンストラクションの決算ランキングは従来以上に詳細な調査を実施して、建設コンサルタント会社の地域別売上高ランキングなど本邦初のランキングも掲載しています。盛りだくさんの特集記事をぜひご一読ください。