新年おめでとうございます。震災復興、土木の復興に向けて重要な年となる2012年がスタートしました。

 今年は何と言っても、東日本大震災からの復興や災害に強い国土づくりに向けて、土木技術者は役割を果たさなければなりません。課題は山積していますが、後世から評価されるような復興をぜひとも実現したいものです。我々は震災から貴重な教訓を得ましたが、教訓は頭の中で考えて納得するだけでは駄目で、実際の復興や国土づくりに生かしてこそ意味があります。その点では実行力が問われることになります。

 復興需要の影響で11年度に増加に転じた土木投資は、12年度もさらに増える見通しです。建設経済研究所と経済調査会経済調査研究所が11年10月に発表した建設投資の見通しによれば、11年度の土木投資は前年度比9.1%増の20兆5700億円、12年度の土木投資は前年度比3.2%増の21兆2200億円。建設投資全体では、11年度が8.5%増の44兆6400億円、12年度は2.9%増の45兆9300億円と予測しています。

 数字のうえでは、市場の縮小に歯止めがかかった形ですが、安閑としてはいられません。復興需要は期間的にも地域的にも限りがあります。たとえ復興需要で一息つけたとしても、その次を見据えて対策を講じなければ市場縮小モードに戻ったときに対応できません。環境・エネルギーやPPP(官民連携)・PFI(民間資金を活用した社会資本整備)、海外などの成長分野をいかに取り込むかがカギとなると思います。

 日経コンストラクション1月9日号の特集「2012年、土木復興元年」では、そうした状況を踏まえながら、12年に土木の仕事がどうなるかを描きました。冒頭で申し上げたように土木の復興に向けて重要な年になりますが、入札・契約制度や暴力団排除対策などの変化にうまく対応しなければ足元をすくわれかねません。チャンスとリスクを適切に把握しながら前に進むことが重要です。

 特集記事では、「建設市場」、「企業経営」、「震災復興」、「成長分野」、「入札・契約」、「発注者支援業務」、「暴力団排除対策」、「注目プロジェクト」の8項目に分けて、12年の土木の仕事を描いています。ぜひご一読ください。

 加えて、今号から新たに二つの連載をスタートさせます。一つは「現場所長塾 失敗しない現場管理」です。所長経験の長いベテラン技術者にご登場いただき、自身の体験を踏まえて失敗しないための現場管理の心得を伝授してもらいます。いわば、技術伝承の誌上講座です。

 もう一つの新連載は「技術士一直線2012」。ご好評いただいている技術士試験対策の誌上講座を2012年版としてスタートさせます。今年は特に、技術士第二次試験合格のカギになる論文の作り方に力を入れます。専門論文や一般論文、技術的体験論文の添削例を示しながら、受験者がつまずきやすいポイントを解説するとともに、効果的な勉強方法や試験に向けての心構えなどもお伝えしていきます。

 さらに今号には、特別付録として本誌特製カレンダー「写真家が撮った土木の醍醐味」を付けました。創刊以来、初めての試みです。仕事に追われ、技術者が見失いがちな土木の魅力も伝えていきたいと考えています。本年も日経コンストラクションをどうぞよろしくお願いします。