PPP(官民連携)先進国のイギリスやフランスで、PPPやPFI(民間資金を活用した社会資本整備)が財政上の重荷になったり批判されたりしています。

 例えば、国や自治体が対価を支払う「サービス購入型」のPFIでは、契約に基づいて一定額を民間に払い続けなければなりません。そもそも財政難にあっても民間資金を活用してインフラを整備できる点がPFIに期待されている面もあるわけですが、さらに財政が苦しくなって、民間への支払いが重荷になるケースが出てきているのです。2008年のリーマンショック以降に民間の資金調達コストが上昇したのもマイナス要因です。ギリシャ発の欧州債務危機も、緊縮財政を迫る要因になります。

 かといって、財政難を克服する手段として、PPPやPFIに代わるものがあるかといえば、ちょっと見当たらないのが実情のようです。日経コンストラクション12月26日号の海外特派報告「英仏が挑むインフラ再建」では、新たな問題に直面し、もがきながらも前に進もうとする英仏のPPP・PFI事情をリポートしました。財政難でインフラの整備や管理がおぼつかないわが国にも、参考になる情報だと思います。ぜひご一読ください。

 なお今号では、連続特集「隠れトラブルの災禍」の後編として「偽装、隠蔽の闇」を掲載しています。橋の工事で相次いで発覚した偽装事件を取材しました。発注者の調査によると、下請け会社が偽装、隠蔽したのを元請け会社は知りませんでした。果たして、元請け会社の管理能力が落ちるところまで落ちたのでしょうか。それとも、下請け会社が責任を負わなければならない理由があるのでしょうか。いずれにしても、看過できない問題が潜んでいます。こちらもぜひご一読ください。