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編集長が語る日経コンストラクションの見どころ

くじ引き落札の不毛、共倒れの悪夢

2011/09/22

 土木工事の主要発注機関の入札結果を調べてみて、改めて驚きました。2010年度の土木工事の入札で、新潟市は全631件のうち実に449件が、くじ引きで落札者が決まっていたのです。くじ引き落札の割合が71%に達しています。
 
 新潟市の発注工事でくじ引き落札が多いことは、日経コンストラクション3月14日号の特別リポート「発注者を訴える建設会社」でも、新潟市を訴えた建設会社の話として断片的に触れていました。10年度に約150件の市の入札に参加して約120件がくじ引きとなり、くじに当たったのは2本だけだったというエピソードです。この話を知っていたので多少は予想できたとはいえ、くじ引き比率のあまりの高さにため息が出ました。
 
 新潟市だけではありません。大阪府でも土木工事のくじ引き落札の割合が52%に達し、相模原市でも51%を占めました。同割合が20%以上となった自治体は、三重県(42%)、京都府(36%)、大分県(28%)、福岡県(27%)、佐賀県(27%)、静岡市(25%)、鳥取県(25%)、神奈川県(24%)、広島県(23%)、川崎市(20%)と、少なくありません。
 
 建設コンサルタント業務でも、くじ引き落札は頻発しています。三重県が10年度に発注した建設コンサルタント業務646件のうち、67%に当たる430件がくじ引き落札でした。札幌市(44%)、堺市(42%)、千葉市(36%)、神奈川県(25%)、滋賀県(22%)、福岡市(21%)では、くじ引き落札の割合が20%を超えていました。
 
 くじ引きに至る構図は、入札参加者の多くが最低制限価格を推測し、そこに狙いを定めて入札して同額入札になるというものです。経営の根幹となる受注が運任せでは、建設産業政策のお題目である「技術と経営に優れた会社」の生き残りは果たせず、建設産業に未来はありません。運任せの会社には金融機関も融資しないでしょう。
 
 企業の窮状を救うために、経済対策として最低制限価格や調査基準価格が引き上げられています。落札率の低下にあえぐ会社には歓迎ムードが漂っていますが、落札できる価格帯が狭まって受注競争が激化し、くじ引き落札の誘因ともなって、「技術と経営に優れた会社」の生き残りを促す方向には機能していない面にも、目を向ける必要があります。たとえ一つの仕事で利益が出たとしても、会社全体で一定の仕事量をこなさなければ経営は成り立ちません。急激な市場の縮小によって、優れた会社もそうでない会社と共倒れする恐れが出てきています。
 
 日経コンストラクション9月26日号の特集「行き詰まる入札制度」では、現在の入札制度の諸問題に焦点を当てました。公共事業の急激な減少によって、受注者は入札制度のちょっとした変更に一喜一憂せざるを得ない状況にありますが、受注をめぐる問題は入札制度だけでは解決できません。需給のアンバランスが顕著ななかで、すべての会社が生き残ることもできません。建設産業をどのように健全化していくのか、「技術と経営に優れた会社」が生き残るにはどうすべきかを、今後とも探っていきたいと考えています。

畠中 克弘=日経コンストラクション編集長日経コンストラクション

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