失敗は、経験しないで済むならそれに越したことはありません。でも、失敗から学べることが少なくないのも事実です。ありていに言えば、失敗は成功のもと。失敗体験を無駄にしないで、自分や組織を磨く糧にすることは重要です。それを業界や社会で共有できれば、より大きな意味があります。

 そんな思いを記事にしたのが、日経コンストラクション7月25日号の特集「所長・部長を育てた失敗」です。企画にご賛同いただいた10人の土木技術者に、過去に犯した失敗とそれから学んだ教訓を開陳してもらいました。ご登場いただいた方々は、現場所長や設計部長などを経験し、功なり名を遂げたベテランばかりです。過去の失敗談を個人攻撃の材料にするのでなく、土木界の共有財産として生かしていただければと思います。

 もしかすると、ベテラン技術者が若手だった時代は、多少の失敗は許容するという空気が現在よりも濃厚だったかもしれません。でも、ベテラン技術者たちが明かしてくれたエピソードを読んでいただければ、現代の若手技術者にも参考になることが分かるはずです。ぜひ特集記事をご一読ください。

 今号ではトピックス「失敗に学ぶガイドライン」で、阪神高速道路会社の設計ミス防止の取り組みも紹介しています。100件超の設計ミス事例をもとにミス防止策などを解説する「設計マネジメントガイドライン」を作成し、受発注者間で情報共有して設計の品質を向上させようとする興味深い取り組みです。こちらも併せてお読みください。