気象庁によると、東北地方が6月21日ごろに梅雨入りしました。東日本大震災の被災地では、大雨や台風などによる二次災害の危険が迫っています。震災で河川や堤防が至る所で損壊し、広域で地盤沈下が発生したからです。国土交通省や自治体は応急復旧を急ぐとともに、様々なソフト対策を講じて被害の軽減に努める構えです。

 震災に伴う原発問題の深刻化を受けて、電力需給が逼迫する7月からは節電への取り組みが一段と重要になります。電気事業法に基づき大口需要家に強制的な使用制限が課される東北電力や東京電力の管内だけでなく、全国的な課題になってきました。建設現場でも、いかに15%節電するかが問われています。

 日経コンストラクション6月27日号では、シリーズ企画「追跡 東日本大震災」で行政機関や建設会社が上記の課題にいかに取り組んでいるかをリポートしました。「さらなる水災害防止へ対策強化」と題する記事と、「どうする現場の15%節電」と題する記事です。東日本大震災がもたらした今夏の試練を何とか切り抜けなければ、被災地の本格復旧が遅れ、日本の再建が滞ります。日本全体で考えなければならない問題です。

 さらに今号では、「IT駆使した震災対応」と題する特集を組みました。震災後の初期対応や復旧活動で情報技術(IT)がどのように使われ、どのような効果と課題があったのかを建設会社などへの取材で探りました。

 東日本大震災の発生から100日が過ぎ、一般の報道は被害状況の分析から復旧・復興へと移りつつありますが、震災直後に何が起こったかを掘り下げることもまだまだ必要だと感じています。問題が風化して曖昧になる前にしっかり記録し、教訓を引き出して次代に生かすことが重要だと考えます。日経コンストラクションは次号でも、技術者たちが想定外の緊急対応で何を考えどう行動したかを克明に追う記事を企画しています。もちろん、復旧・復興の動きは注視し続けます。専門誌として東日本大震災を多面的に報道していくつもりです。