東日本大震災が発生してから、ほぼ1カ月がたちました。阪神大震災をはるかに上回る規模の災害ゆえ、当初は見えにくかった震災の全貌が徐々に明らかになってきています。日経コンストラクション4月11日号の特集は「見えてきた被害の全貌」と題し、被災地を実際に見た専門家の被害分析を速報するとともに、地域別の被害の実態を明らかにしました。今号から立ち上げたシリーズ企画「追跡■東日本大震災」の第一弾です。

 巨大津波に対し、防波堤や防潮堤が一定の効果があったことが専門家の分析で確認されたものの、ハード対策の限界も浮き彫りになりました。逃げ場のない仙台以南の低平地を襲った津波の被害は、専門家に衝撃を与えました。津波被害は三陸沿岸で特に甚大でしたが、実際には北海道や関東の沿岸にまで及んでいます。千葉県旭市内で10人以上が亡くなる原因となった7m超の津波は、海岸の地形特性によって増幅されたと指摘されています。

 注視すべきは津波被害だけではありません。地盤の液状化は上下水道に深刻な打撃を与え、都市機能をまひさせる事態を招いています。福島県の藤沼貯水池では、アースフィルダムが決壊して多数の犠牲者を出しました。地震の揺れによる被害も甚大であることが明らかになってきました。

 今号の特集では、そのような被害分析に加え、インフラ被災地図を作成したことが大きな特徴です。特に被害がひどかった岩手、宮城、福島、茨城の4県を中心に、北海道から神奈川県までの9都道県の被災地図を掲載しました。道路、鉄道、河川、港湾、空港、海岸、ダムなどの主な被害と、津波による推定浸水エリアを示しています。ぜひご一読ください。