土木市場が縮小しているにもかかわらず、土木技術者に関わる資格は新しいものが次々と生まれ、資格取得の選択肢は広がっています。ここ5年でも、コンクリート構造診断士(プレストレストコンクリート技術協会が2007年度に創設)や土木設計技士(建設産業共同教育訓練協議会が09年度に創設)などが誕生しました。環境省が新たに創設した国家資格「土壌汚染調査技術管理者」は、初めての試験が10年12月に実施され、その合格発表が11年1月26日に予定されています。

 新しい資格は土木の仕事の多様化や構造変化を反映したものもありますが、資格を生かそうとする技術者にとっては選択肢が広がりすぎるのも悩ましい。資格の取得や維持にかかる費用もばかにならないので、自分にとって役に立つ資格を見極めて効率的に取得し、効果的に生かしたいものです。

 土木技術者や企業にとって役に立つ資格、役に立たない資格とはどれか。技術者と企業へのアンケート調査や個別取材を通じてそれを探ったのが、日経コンストラクション1月24日号の特集「使える資格、使えない資格」です。

 主要な建設会社や建設コンサルタント会社への調査では、受注機会の増加に役立っている資格、役立っていない資格、今後取得することが重要になる資格を挙げてもらい、集計しました。ここでは特に、「今後取得することが重要になる資格」の調査結果の一部を紹介しましょう。

 土木技術者と関わりの深い資格を選択肢として示し、「今後取得することが重要になる資格」を最大五つまで各社に選んでもらいました。建設会社の1位はコンクリート診断士。実に58%の企業が重要だと考えており、2位以下の資格を大きく引き離しています。コンクリート診断士は建設コンサルタント会社でも3位に入りました。建設コンサルタント会社の1位は技術士・建設部門(河川、砂防および海岸・海洋)でした。

 特集では、環境や維持・補修などの注目分野で役立つ資格を探ったほか、土木界で要注目の資格の最新事情もまとめています。ぜひご一読ください。