新年おめでとうございます。日経コンストラクション2011年1月10日号は、新春にふさわしいラインアップを用意しました。

 特集は「2011年、土木界はこう動く」。企業経営、建設市場、官民連携、地方分権、監理技術者制度、注目プロジェクトといったテーマごとに、2011年の土木界の動きを予測しました。馬淵澄夫国土交通大臣への特別インタビューと併せてお読みください。大臣は、公共事業に再分配機能を担わせて地方の建設産業を守っていく考えを示しています。

 特集に次いで大きくページを割いたのが、スイス・ゴッタルドベーストンネルの現地特派報告。掘進停止や工事遅延などの事態をいかに克服しながら世界最長トンネルを貫通させたかをリポートしています。

 技術士試験対策の好評連載「技術士一直線」も、今号から2011年版が始まります。2011年はウェブの記事と連動させながら進める予定です。

 さらに今号では、写真家の篠山紀信氏が土木現場を撮影するシリーズ「現場紀信」を冒頭に収録しました。被写体は、建設中から多くの観光客を集める東京スカイツリー。前号(2010年12月24日号)の「現場紀信」で取り上げた「圏央道高架橋」に続き、“紀信ワールド”全開です。ぜひ日経コンストラクションを手にとってご覧ください。

 2010年は「コンクリートから人へ」という民主党のキャッチフレーズと相まって、公共事業の削減が強く意識された年でした。いつやむか分からない嵐を前に打ちひしがれ、途方に暮れていた方も多かったのではないかと思います。

 しかし、縮こまって我慢しているだけでは元気がなくなります。そろそろ態勢を立て直し、反転に向けて行動を起こさなければ先細りするだけです。

 土木のありようは確実に変わりつつあります。インフラの維持・補修や更新の重みが高まることは間違いありません。国は成長分野を見定めて重点的に取り組む方針を打ち出しています。温室効果ガスの削減や生物多様性の保全といった環境問題に取り組まなければ、インフラの整備や管理という社会的な仕事を担う資格はありません。

 自分たちの仕事のフィールドを自分たちで限定する内向き志向では、未来を切り開くことはできないでしょう。社会のニーズと正面から向き合い、必要とされる方向へ仕事のフィールドを広げていく「拡土木」とでもいうべき考え方が必要だと感じています。

 2011年の日経コンストラクションは、「成長分野で強くなる」という観点から拡土木の動きを積極的に取り上げて、土木復権の道を探っていく考えです。2011年も日経コンストラクションをどうぞよろしくお願いします。