総合評価落札方式の入札の戦い方が変わってきました。技術と価格の両面を競うのが総合評価ですが、その両面とも差が付きにくくなってきたのです。

 要因の一つは、入札参加者が総合評価の経験を積んで習熟したことによって、技術提案で違いを出すことが難しくなっていること。技術提案で満点が続出する入札も、複数の会社が同点で1位に並ぶ入札も、それほど珍しくなくなりました。

 もう一つの要因は、低入札の調査基準価格や最低制限価格の引き上げによって、非常に狭い価格帯で入札額を競っていること。調査基準価格や最低制限価格といった“地雷”を踏まないように注意しながら、ギリギリの低価格で入札するのが常態化しています。

 小差での競り合いが当たり前になってきたのです。日経コンストラクション11月26日号の特集は、「総合評価で競り勝つ攻め口」と題して、差が付きにくい時代の戦い方を探りました。

 特集では、最近1年間における落札価格3億円以上の国土交通省発注工事を対象に、各社の技術提案力と受注との関係を明らかにしようとしました。技術提案で上位半数に入った案件の割合を「上位率」、1位になった案件の割合を「1位率」として、独自の分析を試みています。

 分析の結果、各社の受注率(受注案件の割合)との相関は、「1位率」より「上位率」の方が高いことが分かりました。一般土木工事で上位率がトップスリーに入った会社は受注率も高く、上位率1位(86.2%)のあおみ建設の受注率は13.8%、同2位(83.7%)の戸田建設の受注率は16.3%、同3位(77.1%)のハザマの受注率は20.0%でした。ただし、上位率や1位率が高くても、受注に結び付いていない会社がいくつも見受けられます。小差の勝負となっているので、価格面も含めた入札戦術のちょっとした違いが受注を左右しているようです。

 小差の競り合いを制するには、技術提案での得点の取りこぼしは避けたいところです。特集では、総合評価のセミナーの講師などに取材し、着実に得点するためのポイントをまとめています。詳しくは特集記事をお読みください。