公共事業の受注者の仕事は、「成績評定点」という形で発注者から点数が付けられます。国土交通省の2009年度の平均点(港湾空港事業を除き、内閣府沖縄総合事務局を含む)は、土木工事が75.7点、土木系業務が74.8点。同様に、都道府県と政令市における09年度の土木系工事・業務成績の平均点を、日経コンストラクションが独自に調べたところ75.6点でした。

 受注者にとっては、工事や業務の成績評定点を80点の大台に乗せることが一つの目標になっています。成績評定点が高ければ、発注者から各種表彰を受ける可能性が高まるだけでなく、表彰や高得点を得られればその後の技術提案型の入札で優遇され、受注競争を有利に戦えるからです。成績評定点の平均値を基準にすると、どのようにして「あと5点」上乗せするかがポイントになります。

 日経コンストラクションでは、2010年1月から「成績80点の取り方」という連載を始めました。実際に80点以上の成績評定点を獲得した事例を取り上げて、受注者がどのような提案を行い、発注者がどう評価したかをケーススタディーすることで、好成績を収める作法を探ろうとするものです。その企画をさらに一歩進めて80点を取るためのセオリーを探ったのが、日経コンストラクション10月22日号の特集「成績80点獲得のセオリー」です。

 特集では、高得点を取るコツを好成績者に開陳してもらい、それに基づいて成績向上のための五つの勘所を、工事編と業務編に分けてまとめました。成績評定点向上を目的としたセミナーの講師にも取材していますが、そこで見えてきたのは、工事では特に成績評定の仕組みを把握することが重要だということです。同種のセミナーの講師を務める建設情報化協議会の前田憲一技術顧問は、「受講者は80点を目標に掲げるのだが、そもそもどういった評価を受ければ80点になるのか、頭に描けていない」と指摘しています。詳しくは特集記事をご一読ください。

 さらに特集では、主要発注機関を対象に成績評定の実態調査を実施し、入札時の活用状況や成績評定点の平均点などを掲載しました。調査の対象は、国交省、都道府県、政令市、高速道路会社などです。国交省の地方整備局の間でも、過去の成績評定点や表彰などの活用方法が微妙に違うことが分かります。都道府県では成績評定点の平均値のばらつきが大きく、09年度の土木工事の平均点が最も高い北海道は86.1点、最も低い和歌山県が69.5点でした。