19都府県と8政令市で、2010年度の公共事業発注量が前年度に比べて増加――。日経コンストラクションが都道府県と政令市を対象に実施した2010年度予算の調査で、このような事実が明らかになりました。

 09年度当初予算に比べて投資的経費を増やしたところは7都県、8政令市にとどまりましたが、これは国直轄事業負担金を大きく減らす自治体が続出したためです。投資的経費の普通建設事業費から国直轄事業負担金を除いたうえで、自治体が事業主体となる単独事業と補助事業を独自に集計した結果、冒頭のような傾向が見えてきました。

 10年度の一般会計で公共事業関係費を18.3%減らした国のようには、都道府県や政令市は公共事業を減らさなかったわけです。単独事業と補助事業を合わせた公共事業発注量が前年度比で10%以上減ったのは9県、5政令市にとどまりました。

 10年1月~3月に経済対策として09年度補正予算を組んだ自治体も多く、それらの事業の実施が10年度にまたがることを考えると、10年度の実質的な公共事業量はさらに上乗せされることになります。

 詳しい調査結果は、日経コンストラクション5月14日号の特集「自治体予算調査2010■19都府県で発注量増加」に掲載しています。発注量が増えた理由などは、ぜひ特集記事で確認してください。

 もちろん、少子高齢化や人口減少が進むなかで、限られた財源をどう活用するかは重要な問題です。都道府県や政令市の発注量が国のように激減しなかったからといって、土木の将来を楽観視することなどとてもできません。しかし、いたずらに悲観する必要もありません。実態をよく見極めて冷静に対処することが重要です。

 日経コンストラクションはこれからも、刻々と変わる事態を冷静に判断するための情報を提供していきたいと考えています。都道府県や政令市への2010年度予算の調査は、もともと政権交代後の状況を見極めるために重要だと考えていましたが、経済対策として09年度に補正予算を組んだ自治体が多かったこと、単独事業の予算が前年度を上回る自治体が出てきたことを受けて必須だと考え、詳細な調査を実施して特集記事に仕立てました。今後とも、そんなサインを見逃さないように努めていきます。