日経コンストラクション編集部には読者の方々の声がたくさん寄せられます。その一部は雑誌創刊以来の名物常設欄「ねっとわーく」に掲載しています。最近では時節柄、政権交代後の不透明感を憂える声が目に付きますが、土木の仕事での構造的な問題を指摘する声も少なくありません。

 このうち、数年前からくすぶり続けているものの一つが、公共事業の入札・契約制度に対する疑問や不満の声です。日経コンストラクション3月26日号の特集は、そうした声を取っ掛かりにして実務者へのヒアリングを重ね、発注機関に疑問をぶつけるなどして、あるべき入札・契約制度を考えました。題して「入札制度がおかしい」です。

 「最低制限価格などの価格当てゲームに陥っている」、「過去の実績で受注が決まりすぎ」、「技術力で点差を付けられない」、……。変更に変更を重ねた入札・契約制度の現状は、不健全な袋小路に迷い込んで身動きが取れなくなってしまったかのようです。特集で取り上げた事例のように、受注できるかどうかがほどんど「運」で決まり、企業努力が報われないようでは、業界の活力は失われます。次代の担い手としてふさわしくない企業にも仕事を分配するような保護政策的な方向に傾けば、業界の衰退は加速するでしょう。

 縮小市場では、残念ながらすべての企業が生き残ることなどできません。次代を担うべき優れた企業が生き残れるような入札・契約制度に改めていく必要があります。必ずしも容易ではありませんが、知恵を結集して一歩一歩進めていかなければ未来がありません。土木という仕事が社会を営むうえで不可欠な仕事であるならば、次代でもきちんと機能する仕組みを考えるのが現代の責務です。特集記事ですべての疑問点を提示できたわけではありませんが、ぜひご一読いただければと思います。