日経コンストラクション2月12日号の特集は「徹底解剖 2010年度政府予算案」です。10年度政府予算案は前号(1月22日号)の「NEWS焦点」で3ページを割いて速報しましたが、今号では26ページを割いて詳しく報じました。図表を充実し、現段階で分かる範囲の情報を盛り込んでいます。

 日経コンストラクションが政府予算案をこれほど詳しく報じるのは、1989年の創刊以来、初めて。これまでとは予算の付け方が大きく変わって注目度が高いことから、「徹底解剖」することにしました。2009年10月9日号から始めたシリーズ企画「追跡■民主党政権下の土木」の一環です。

 10年度政府予算案で公共事業費は09年度に比べて約2割減りましたが、その減り方は一様ではありません。一例を挙げれば、治水分野では直轄ダム事業費を12.2%減らす一方で、直轄河川改修事業費は11.4%増やしました。前原誠司国土交通相が掲げる「できるだけダムに頼らない治水」への政策転換を反映して予算案にメリハリが付いています。

 自治体にとっては、新たに登場した「社会資本整備総合交付金」や「農山漁村地域整備交付金」が要注目です。いわゆる「ひもつき補助金」の一括交付金化に向けて、第一歩を踏み出しました。使い道の制約があるひもつき補助金を、自治体が比較的自由に使える一括交付金へと置き換えていくものです。

 新しい交付金の細かな運用方法はまだ定まっていませんが、自治体はこれまで以上に、地域の事情に応じて事業を進める「事業力」が問われるのは必至です。使う自由度は高まっても、使える額は限られています。企画力や構想力によって自治体間の格差が拡大するのは避けられないでしょう。日経コンストラクションでは今後とも、新しい交付金の仕組みや使い方などを追跡していきます。