第一次選考で選定された6案

【最優秀案】
エイト日本技術開発
●デザイン担当:西山健一(イー・エー・ユー)
●協力者:二井昭佳、イー・エー・ユー、空間工学研究所

右岸に最も近い区間では、歩道が車道の桁下をくぐり、住宅地に近い上流側にまわる(資料:エイト日本技術開発)
右岸に最も近い区間では、歩道が車道の桁下をくぐり、住宅地に近い上流側にまわる(資料:エイト日本技術開発)

右岸の下流側から見る。橋のほぼ中間地点から、歩道は車道から分離してスロープになる(資料:エイト日本技術開発)
右岸の下流側から見る。橋のほぼ中間地点から、歩道は車道から分離してスロープになる(資料:エイト日本技術開発)

●提案の内容
 上流側の橋から見て、厳島の山並みと調和するように、2連の低いアーチとした。PC連続ラーメン箱桁を、鋼アーチで補剛する複合構造になっている点が特徴。アーチ端部は、フィンバックにコンクリートを充てんして桁・橋脚と剛結合するため、支点部に支承やエキスパンションがない。
 歩道は、車道と構造を分離する。橋の北西にある住宅地に最も近い上流側の堤防から入り、車道の下をくぐって眺めのよい下流側に出た後、2%の緩勾配のスロープで、車道のレベルまで上がっていく。その間の歩道は、車道からの吊り構造になる
●評価のポイント
 厳島を含む景観との調和を含め、バランスのとれた飽きのこないランドスケープデザインとして評価された。車道から切り離した緩勾配の歩道は、利用者の動線への配慮や、途中に海を眺めながら足を休める空間を置いたことなどが、使う側の立場に立った工夫として高く評価された。


【優秀案】
ドーユー大地
●デザイン担当:清水泰博(東京芸術大学准教授)
●協力者:清水泰博(東京芸術大学准教授)

(資料:広島市)
(資料:広島市)

 13径間連続PC(プレストレスト・コンクリート)箱桁橋。高強度コンクリートを用いて、シンプルでありながら、スレンダーで美しいシルエットの桁を提案している。選考会では、高強度コンクリートによる軽量化や耐久性の向上、外ケーブルによるメンテナンス性などが高く評価された。デザイン面では、必要以上に自己主張せず、周辺環境に調和したとして評価された上部工に対して、橋脚の幅が広く重厚であるとの指摘があった


【入選案】
復建調査設計
●デザイン担当:宮迫勇次(復建調査設計)
●協力者:日本構造橋梁研究所、竹内きょう

(資料:広島市)
(資料:広島市)

 波を連想させる3連の低いアーチが、厳島とも調和するデザインとして評価された。半面、三つのアーチスパンがそろっていないことなどが課題とされた


【入選案】
アジア航測
●デザイン担当:寺田和己(寺田和己技術アドバイザー事務所)
●協力者:寺田和己技術アドバイザー事務所、ジイケイデザイン機構、GKデザイン総研広島

(資料:広島市)
(資料:広島市)

 最終選考に残った6案で唯一、シンボリックな主塔を持つ斜張橋形式。歩道を一段高くした点などが評価されたが、景観との調和に課題が提示された


【入選案】
MPC Arquitectos +Torroja Ingenieria, Jose Maria de Villar Luengo
●デザイン担当:Jose Maria de Villar Luengo
●協力者:MPC Arquitectos (Vicente Mirallave Izquierdo、 Flora Pescador Monagas、 Angel Casas Suarez、 Jin Taira)、Torroja Ingenieria(Jose Maria de Villar Luengo、Jose Antonio Torroja Cavanillas、Simon Talero Munoz)、満田衛資構造計画研究所(満田衛資)、三好隆之、Lain Ingenieros(Vicente Llinares de Bethencourt、Jose Antonio Garcia)

(資料:広島市)
(資料:広島市)

 水平梁を用いたエクストラドーズド連続鋼床版橋。鳥居など日本の伝統に基づく独特のデザインが評価されたが、耐震性などの性能面で疑問が出された


【入選案】
パシフィックコンサルタンツ
●デザイン担当:堀越英嗣
●協力者:堀越英嗣アーキテクトファイブ、アプル総合計画事務所

(資料:広島市)
(資料:広島市)

 中央径間と側径間の鋼箱桁を、ブレースド・リブアーチとトラスで補剛した構造。斬新なデザインが注目されたが、存在感が大きすぎるとの懸念が示された


(日経コンストラクション2009年10月9日号の記事に加筆・修正しました。一部を除き、文章中の肩書や年齢、データは掲載時のものです)