政権交代を機に土木界はさらなる激動の時代に突入しました。土木界では今後、企業の再編、淘汰、人員削減などによって、人材の流動化が加速する可能性があります。では、激動期に強い土木技術者とはどういう人なのでしょうか。どんな土木技術者が生き残るのでしょうか。転職を切り口にしてそれらを探ったのが、日経コンストラクション11月13日号の特集「土木技術者サバイバル」です。

 勤め先の経営不振で既に容易ならざる事態に直面している土木技術者は少なくないと思われます。特集で取り上げた技術者のなかにも、勤めていた会社が解散したり、退職勧奨を受けたり、人員の削減でやりがいが失われたりといった理由で、転職した人たちがいました。

 ただし、追い詰められての転職であったとしても、転職で成功した人たちの多くはいたって前向きでした。ピンチをチャンスに変えてキャリアアップした人もいれば、転職を機に土地勘のない有望市場の仕事に挑戦した人もいます。転職して活躍する技術者たちは、転職に際してどんな資質が認められ、どんなスキルや経験が新天地で生きたのでしょうか。特集では、多くの転職事例の取材を通して、社会から求められる“技術者の市場価値”とは何かを考えました。ぜひご一読ください。

 孫子の兵法の「敵(彼)を知り己を知れば、百戦あやうからず」ではないですが、社会から求められるニーズを見通したうえで、自分の能力を磨いてアピールできるように準備した人ほど、激動期に強いはずです。厳しい時代はしばらく続きそうですが、日経コンストラクションでは土木の仕事に携わる方々が激動期を生き抜いて厳しいなかにもやりがいを見いだし、業界の活力を生み出すような情報の提供に今後とも努めていく所存です。