「従来の常識が通用しない」「これまでの発想では駄目」。変化の必要性を訴えるときに雑誌でよく使われるフレーズですが、そんな表現では物足りないと思えるほどの大きな変化が、民主党政権の誕生によって始まろうとしています。

 土木界は、政権交代以前も激動の時代でした。公共事業の削減と脱談合を契機とする受注競争の激化や技術提案型入札の拡大によって、まさに従来の常識が通用しない世界となっていました。今後、さらなる激動の時代を迎えることが確実な情勢です。

 民主党はマニフェスト(政権公約)で、公共事業費を4年間で1.3兆円削減する方針を打ち出しています。公共事業が減ることは間違いありません。ただし、自民党政権下でも公共事業費は減ってきたわけで、今後はその減り方の変化よりもむしろ、公共事業の中身の変化が重大なのではないでしょうか。八ツ場ダムをはじめとするダム事業の見直しに象徴される公共事業の中身の変化です。一連の大きな変化に合わせて、土木の仕事を立て直していかなければなりません。

 日経コンストラクションでは10月9日号の特集「公共事業激動の始まり」を皮切りに、「追跡■民主党政権下の土木」と題するシリーズ記事を連載します。10月23日号では前原誠司国土交通大臣への緊急インタビューを掲載し、11月13日号では2010年度予算がどう変わるかを徹底取材する予定です。その後も時々刻々と変わる情勢を踏まえて、特集記事などで土木の仕事への影響をフォローしていきます。

 10月9日号の特集では、公共事業削減、高速道路無料化、地方分権、公務員改革のテーマ別にこれからどうなるかを整理しました。就任前に実施した馬淵澄夫国土交通副大臣へのインタビューの記事も掲載しています。ぜひお読みください。