日経コンストラクション9月11日号の特集は毎年恒例の決算調査です。建設コンサルタント会社162社と建設会社151社からの回答に基づき、2008年度(08年4月期~09年3月期)の業績や09年度の見通しなどを分析しています。

 特集のタイトルは「逆風下の選択」。景気対策の名の下に一時的に上積みされたとはいえ、公共事業費削減の大きな流れは変わることはなさそうです。価格競争力と技術競争力を問う技術提案型の入札の拡大で、縮まるパイを奪い合うシビアな競争がしばらく続くことは間違いないでしょう。縮まる土俵でたくさんの競争相手との勝負を続ければ、勝ち抜くのが難しいばかりか、疲弊して体力が低下するのは自明です。できれば競争相手の少ない土俵、しかもこれから広がることが見込めて自社の競争力を生かせる土俵で勝負したいと考えるのは当然です。では、それぞれの建設コンサルタント会社や建設会社は、どの土俵を見定めて注力しようとしているのでしょうか。これが今号の特集のテーマです。各社への業績調査の結果とともにお読み下さい。

 政権交代を目前に控え、以前にも増して公共事業の不透明感は強まっています。気になるのは公共事業がどう変わるかだけではありません。地方分権や公務員改革はどう進むのか。それらが官公庁や建設コンサルタント会社や建設会社にどのような影響を与え、土木の実務がどのように変わっていくのか。そんな転換期に技術者一人ひとりがやりがいを見いだし、生き生きと働くにはどうすればいいか。激動期の今こそ、専門誌が果たすべき役割は大きいと考えています。日経コンストラクションは、激動期を乗り越えるために必要な情報の提供をこれからますます強化していく所存です。土木をめぐる情勢の変化をいち早く伝え、不透明な時代に指針を示す羅針盤となることができるように気を引き締めているところです。これからもどうぞよろしくお願いします。