建設会社の50%、建設コンサルタント会社の63%で土木技術者が不足している――。日経コンストラクションが主要な建設会社と建設コンサルタント会社にアンケート調査したところ、このような技術者不足の実態が浮き彫りになりました。

 逆に、土木技術者が過剰だと回答した会社の割合は、建設会社で15%、建設コンサルタント会社で10%。2008年に入って、奥村組や前田建設工業、福田組などが相次いで早期退職募集の発表をしたことが象徴するように、一部の会社では過剰感が強いようですが、主要な建設会社や建設コンサルタント会社の多くは技術者不足に直面しているのです。

 ところが、建設会社では「足りないから増やす」というほど、事は単純ではありません。公共投資の減少によって過当競争に陥ったうえに、総合評価落札方式の入札の拡大によって工事を受注するまでに手間がかかるようになって、技術者が足りなくなっていますが、10年後の事業量を想定すると増員には慎重にならざるを得ないのです。主要建設会社では、新卒や中途の採用拡大よりむしろ、現有戦力のレベルアップを図ることで現在の難局を乗り切ろうとしています。

 建設コンサルタント会社では、プロポーザル方式をはじめとする技術力評価型の選定方式が広がり、優秀な技術者の確保と育成が急務となっています。日経コンストラクションの調査によると、土木技術者の不足感は大手のほうが強いですが、コンサルタント部門の売上高が10億円未満の中小でも58%の会社で技術者が不足していると回答しています。

 ただし、日本工営やパシフィックコンサルタンツなどの大手が新卒採用を大幅に拡大しているのに対して、中小では思うように新卒採用ができていません。大手は即戦力を求めて中途採用の拡大も進めており、大手と中小の採用格差が広がりつつあるようです。

 日経コンストラクション9月12日号の特集「建設会社・コンサルタント決算ランキング2008」では、「“背水”の人材戦略」と題して、企業の盛衰を左右する人材戦略に焦点を当てるとともに、主要企業に対する決算調査に基づいて売上高や利益などの各種ランキングを収録しています。ぜひご一読下さい。