洞爺湖サミットでも重要議題となった地球温暖化の防止に向けて、土木ができることは何か――。日経コンストラクション7月11日号の特集「CO2の減らし方」は当初、そのような問題意識で取材を始めました。

 記事を仕上げるまでの過程で企画の方向性はぶれませんでしたが、思っていた以上に地球温暖化対策が土木の仕事に影響を与えることはわかりました。単に規制が強化されるというだけでなく、仕事の受注やコストダウンのためにCO2削減の取り組みが無視できなくなりつつあるのです。

 総合評価落札方式の入札でCO2削減の取り組みを加点対象にするケースは徐々に増えてきました。例えば、国土交通省近畿地方整備局が2007年度に加点対象にした入札は62件。評価点に占める重みはまだ大きくありませんが、ほかの発注者にも導入が広がる可能性はあります。同省中国地方整備局発注の浜田・三隅道路折居地区改良工事での総合評価のように、89.4点の加算点のうち最大で15点をCO2削減の技術提案に与えるという案件も出てきています。

 さらに大きいのは、CO2の削減に向けた省燃費の取り組みがコストダウンにつながることが、燃料油高騰の影響で目に見えるようになってきたことでしょう。大型ダンプトラックに省燃費運転補助装置を取り付けて走行したところ、燃費が30%改善したという会社もありました。こまめなアイドリングストップもばかにできません。

 盛り土1層の厚さを増やすことでもCO2を減らすことはできます。盛り土の回数が少なくなれば、建設機械の稼働時間が減って省エネルギーにつながり、引いてはCO2の発生量が抑えられるというわけです。前田建設工業が近畿地方整備局発注の和田山八鹿道路上谷トンネル工事の入札で、総合評価の加点対象だった「CO2排出量削減の工夫」として提案しました。

 特集では、明日から心がけしだいで実践できることから、技術上の工夫や新技術の導入で実現できること、行政の施策として可能になる構造改善まで、CO2削減の取り組みをまとめました。地球温暖化問題は、2008年度技術士第二次試験の一般論文で出題される可能性が高いテーマだともいわれています。ぜひ手にとって日経コンストラクションをお読み下さい。