消費者と事業者の間には、専門知識や情報において質・量ともに大きな差があり、また交渉力においても格差がある。国民生活センターなどに寄せられる契約トラブルも増加の傾向にあり、消費者が対等に取引するためのルールとして2001年4月に「消費者契約法」が施行された。

その背景には、市場の自由競争を推進する規制緩和の流れがある。一つの事業に対して、多業種が参入するということは、選択肢が増えて利便性が向上する半面、消費者にとっては自己責任において契約を交わさなければいけないということでもある。消費者契約法は、規制緩和時代における新しいルールであるということができる。

これは当然、住宅の販売や建築の請負契約でも適用される。旧来の常識のまま契約に臨んでいてはルール違反を犯す可能性もある。以下にこの法律の要点をまとめので、押さえるようにしておきたい。

1.不適切な勧誘で誤認・困惑の結果、契約した場合は契約の取り消しができる:取り消しができるのは、誤認に気づいてから、または困惑行為から6か月、契約時から5年以内。重要項目について事実と異なることをいう「不実告知」、不確実なことを断定的にいう「断定的判断」、重要な事項について不利益になることを故意にいわない「不利益事実の不告知」、退出を求められたのに従わない「不退去」、意思に反して拘束する「監禁」などが、「不適切な勧誘」に当たる。
2.消費者に一方的に不当、不利益な契約条項の一部、または全部を無効にできる:「事業者の損害賠償責任を免除したり、制限する条項」、「不当に高額な解約損料」、「不当に高額な遅延損害金」、「信義誠実の原則に反して消費者の利益を一方的に害する条項」などが、それに当たる。

細部についてもよく理解し、自社の営業方法や契約条項をよく見直しておくようにしておきたい。