建築基準法では、1993年に耐火構造に準ずる耐火性能を有する構造として「準耐火構造」が規定され、それまで木造で建てられなかった規模・用途の建物が建てられるようになった。

この準耐火構造で主要構造部が構成され、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸その他の政令で定める防火設備を設けた建物を「準耐火建築物」と定義している。

準耐火構造の延焼抑制性能には、30分、45分、1時間があり、柱、床、梁、耐力壁などに45分の性能を持たせた準耐火建築物を一般的に「45分準耐火建築物」、1時間のものを「1時間準耐火建築物」と呼んでいる(ただし、屋根、階段などは30分でよい)。

主要構造部の各部位の防耐火仕様には、告示に示されたものと国土交通大臣認定を受けたものがあり、その考え方には、「石こうボードなどによって構造材を防火被覆するもの」と、「木材の柱・梁に関して燃えしろ設計することで防火被覆を設けず木材を露出して使用するもの」の2種類がある。「燃えしろ設計」とは、固定荷重と積載荷重から求まる必要断面に対し、45分準耐火構造では35mm、1時間準耐火構造では45mmの燃えしろを周囲に見込んだ断面とした設計のことだ。

45分準耐火建築物は、防火地域における階数2以下で延べ面積が100m2以内の建物や、準防火地域における階数3以下で延べ面積が1500m2以内の建物および階数2以下で一定規模以下の特殊建築物などに適用される。1時間準耐火建築物は主に木造3階建て共同住宅に適用される。

2000年の建築基準法改正により、仕様規定から性能規定へと移行したこともあり、準耐火構造で使用可能な外壁材、内装材、下地材などの範囲が広がっている。設計・施工の工夫によっては、従来不可能だった施主の要望も実現できる可能性が見込まれる。今後、プラン提案力で大きく差のつく規定だといえるだろう。