「先入観がなかったのが良かった」

 大賞を受賞した旭ファイバーグラスの狐塚章社長は「当社はガラス素材メーカーとして、長年にわたってグラスウールの断熱性能の向上に取り組んできた。特に力を入れてきたのが、寒冷地である北海道の木造住宅で高い省エネ性能を持つ断熱材を普及させること。改正省エネ基準で北海道地域の熱抵抗値が3.3(m2・K/W)となったことを受け、標準的な木造住宅の柱の厚みである105mmに収まるグラスウールで、この断熱性能を達成したいと考えた」と振り返った。

 そのうえで狐塚社長は「開発当初は繊維径を細くすれば目標の断熱性能を達成できると考えていたが、何度も実験を繰り返すうちにそれだけでは無理で、ある程度の繊維長を確保する必要があることを突き止めた。これが突破口となって、最適な繊維径と繊維長の組み合わせを設定し、目標の断熱性能をクリアできた。実験を担当したのは入社後数年の若い技術者だったが、先入観を持たずに粘り強く開発に取り組んだことが技術の革新につながった」と話した。

 会場では「採用したい建材・設備メーカーランキング2014」で、各部門の1位になったメーカーの贈賞式も開催された。同ランキングは、日経アーキテクチュアと日経ホームビルダーが共同で調査を実施し、採用したい建材・設備メーカーを調べたもの。日経アーキテクチュアは一級建築士の回答に基づき、日経ホームビルダーは戸建て住宅の専門家の回答に基づき、それぞれランキングしている。

本社社長の長田公平(左)から、各部門の1位に選ばれた企業の代表者に表彰状とトロフィーが授与された(写真:都築雅人)
本社社長の長田公平(左)から、各部門の1位に選ばれた企業の代表者に表彰状とトロフィーが授与された(写真:都築雅人)

 この調査は、販売数量や売上金額などの量的な評価によるものではなく、専門家による質的な評価を数値化してランキングするのが特徴だ。日経アーキテクチュアが「ビル用アルミサッシ、カーテンウオール」や「金属屋根材」など全49部門を、日経ホームビルダーが「システムキッチン」や「門扉・フェンス・塀」など住宅関連の32部門を対象として調査した。

 すでにランキング結果は、日経アーキテクチュアの2014年11月25日号と、日経ホームビルダーの2014年12月号で掲載している。この結果を受けて、各部門で1位となった企業の代表者を招いて賞状とトロフィーを授与した。