住宅では建築や電気など異なる工種同士の協力が欠かせない。日経ホームビルダーでは、電気工事店(電工店)が工務店に伝えたい電気工事に関するポイントを、「電工店から一言」として2014年8月号から連載している。ほかの工種への理解を深めることが、工事の手戻りや思わぬトラブルを防ぐはずだ。

 配線のトラブルが分かったきっかけは、レンジフードファンが回らないと住まい手から電力会社に問い合わせが入ったことだった。電力会社から紹介を受けた電工店が、問題のあった住宅に出向いてレンジフードファンを収めたボックスを開けると、中から黒焦げの電線が現れた。

レンジフードファンを収めたボックスの中で、電線同士の接続部が焼けていた。手でねじって接続しただけなので、経年変化で接触不良を起こした(写真:松倉電気商会)
レンジフードファンを収めたボックスの中で、電線同士の接続部が焼けていた。手でねじって接続しただけなので、経年変化で接触不良を起こした(写真:松倉電気商会)

 このトラブルは、大阪府電気工事工業組合(大電工)に所属する電工店が実際に対応したものだ。最悪の場合、火事になった恐れもある。

 大電工で理事を務める松倉電気商会(大阪市東住吉区)代表の松倉靖浩さんは、「誰かは分からないが、電気工事士の資格を持たずに、電線をつなぐだけだからと安易に接続した可能性がある」と、電線の接続部が焼け焦げていた原因を推測する。

 電気工事士法では、屋内配線は基本的に電気工事士の資格を持つ技術者が施工しなければならないと定めている。ところが、「資格を持たない大工や機器を納入した業者が電線を接続することが、実際にはよくある」と松倉さんは指摘する。