若手の設計プラン
目次
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外部に個人領域を配した重層長屋、若手の設計プラン(23)
鹿手袋の長屋/設計:生物建築舎
埼玉県内の住宅地に建つ重層長屋のプロジェクト。2階建てと3階建ての複数の棟を1棟のように構成した。最大の特徴は、各住戸に個人専有の外部空間を設けたこと。「建物がつくり出す視線の交錯とか、個人の領域の重なり合いが人のつながりに発展していったらいい」。設計者である藤野高志氏は完成後に生まれる“物語”に期…
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社会人が刺激し合うシェアハウス、若手の設計プラン(22)
名古屋シェアハウスプロジェクト(仮称)/設計:成瀬・猪熊建築設計事務所
50代の建て主は、若い社会人が一緒に生活しながら刺激を受けてステップアップできるシェアハウスをつくりたいと考えた。設計者として白羽の矢が立てられたのが若手パートナー事務所。パズルを解くようにプランを詰めることで、シンプルな平面ながら、個室を数多く持ち、中央の共用部との距離感も様々なデザインが生まれた…
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既存商店街をワイヤで緩やかに覆う、若手の設計プラン(21)
福山市本通り商店街プロジェクト/設計:UID
広島県福山市の中心市街地。JR福山駅から徒歩10分ほどの距離にある本通り商店街は、約60の店舗の半数がシャッターを下ろしたままだ。商店街からアーケード撤去の相談を受け、地元の建築家、前田圭介氏が提案したプランは、長さ330mのアーケードの屋根だけ撤去し、代わりにワイヤを架け渡して緩やかに通りを覆うと…
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10層にライフスタイルを積み上げる、若手の設計プラン(20)
コーポラティブガーデン/設計:オンデザイン
JR山手線の五反田駅から歩いてすぐ、東京都品川区の敷地に建設予定のコーポラティブハウス。オンデザインの西田司氏らは10層のフロアそれぞれを敷地と見立て、外部空間と一体で各住戸のプランを詰めている。それぞれの住戸の小さい庭が吹き抜けや階段、エレベーターを介して立体的に連続してつながり、全体のファサード…
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巨大な樹木のような300mタワー、若手の設計プラン(19)
台湾タワー/設計:藤本壮介建築設計事務所ほか
台中市が2011年に実施した台湾タワーの国際コンペで、藤本壮介氏の案が当選した。その姿はこれまでのタワーとは一線を画する。藤本氏が意図したのは「これからの時代のタワー」。遠くからは霞が揺らいでいるかのように見える。既に基本計画を終えた。完成の目標は2017年の初頭だ。
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護岸断面を意匠に生かす店舗併用住宅、若手の設計プラン(18)
LAPIN/設計:保坂猛建築都市設計事務所
オーナー夫婦は甲府市にUターンし、待望のレストランを開業する。設計者の保坂猛氏は、かつて設計した山梨県河口湖町の飲食店「ほうとう不動」が成功していることなどが評価されて選ばれた。保坂氏は、川に面した敷地であることを踏まえ、護岸の断面をコピーし、敷地にペーストしたようなシンプルながら存在感のある建築を…
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躯体だけ残して折板で展示空間、若手の設計プラン(17)
市原市水と彫刻の丘リノベーションプロジェクト/設計:有設計室
既存のコンクリート躯体を残して仕上げやカーテンウオールを撤去、スチールの折板を内外に用いた壁を挿入して展示空間をつくる――。公共施設の改修で、若手2人のパートナーはこうしたアイデアで公開プロポーザルに勝利。2013年2月の完成を目指してプロジェクトは進んでいる。
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利用者との議論を建築化した保育所、若手の設計プラン(16)
七ヶ浜町遠山保育所/設計:高橋一平
2011年3月11日の東日本大震災で被災した保育所の建て替えプロジェクト。設計者の高橋一平氏は同年11月の公開プロポーザルで選ばれた。中庭を囲むように諸室を配したプランでは、建物の高さを抑え、計画地周辺の緑に建物を溶け込ませる考え。実際に使う人たちの意見をそのまま反映させた、いわば住民参加の議事録が…
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築80年の旧銀行をカプセルホテルに、若手の設計プラン(15)
SGR/設計:yHa architects
福岡の商圏にのみ込まれ、商店街の地盤沈下が進む佐賀市の中心市街地。築約80年の旧銀行の建物をコンバージョンして、街の活性化につなげる。設計者である平瀬有人氏が提案したのは、デザイン性の高いカプセルホテルをつくること。レストランやカフェ、ギャラリー、ライブラリーなどを併設し、滞在型の文化拠点にする考え…
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波打つスラブで風景や人の流れを変える、若手の設計プラン(14)
(仮称)小松駅東交流センター/設計:スタジオ建築計画+UAo
科学とものづくりをテーマに人材育成や産業振興を図るため、JR小松駅前に拠点施設を建設する――。石川県小松市は2011年に設計プロポーザルを実施、選ばれたのが伊藤麻理氏率いるUAoなどによるチームだ。人影少ない駅前に、波打つ緑のスラブが連なる公園のような場をつくり、人が集うようにしようと考えた。
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若手12組の建築模型を山のように積み重ねて示す
模型展「新しい建築の楽しさ」
若手建築家12組による模型展「新しい建築の楽しさ」が東京・京橋のAGC studioで6月5日にスタートした。12のプロジェクトの模型がフレームに収められ、山のように積み上がる。縮尺の大きな模型、小さな模型をそれぞれ縮尺に応じて見せるために考えた展示構成だ。
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シングル女性が3つの場を共有、若手の設計プラン(13)
ネットワーク型集合住宅/設計:畑友洋建築設計事務所
3人のシングル女性がそれぞれ賃貸の部屋に住みながら、クロゼットとダイニング、スパを別々の場所につくって機能を共有し合う――。ネットワーク型集合住宅と名付けた、こんなプロジェクトが神戸市で進んでいる。設計を担っているのが、同市内で設計事務所を主宰する畑友洋氏だ。
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運営者が自ら改装できる宿泊施設、若手の設計プラン(12)
高野山ゲストハウス(仮称)/設計:アルファヴィル
いわゆるバックパッカーを狙った宿泊施設だが、宿泊客以外の人もラウンジを使ってワークショップや展覧会を開けるなど、若い人が集う場をつくる。アルファヴィルの竹口健太郎氏らは、最低限の改装費程度で新築できる構造で、使い手が自由に改装していける仕組みを提案した。
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産業遺産の玄関口となる小駅舎、若手の設計プラン(11)
上信電鉄上州富岡駅舎/設計:TNA
群馬県富岡市に残る富岡製糸場。世界遺産への登録を目指す同建築への玄関口となるのが上州富岡駅だ。将来まで多くの人々が利用する駅となるよう設計コンペが2011年夏に実施された。最優秀となったTNAの案はレンガを使用し、縁側のような空間を持つ。まちに開かれた建築だ。
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渓谷のような台湾のリゾートホテル、若手の設計プラン(10)
金山プロジェクト/設計:平田晃久建築設計事務所
台湾の温泉地で設計が進むリゾートホテル。設計者の平田晃久氏は、奥行き約150mの敷地の真ん中に水を流し、最上階に向かって両側がセットバックしていく渓谷のような場を提案した。それぞれのヴィラへは小舟でアプローチ。だれとも顔を合わせることなしに過ごせる非日常空間だ。
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高齢者と障害者が支え合う複合施設、若手の設計プラン(9)
さかえキッチン/設計:メジロスタジオ
東京・立川駅から1km以上離れた人通りが少ない交差点に建つ築30年のビル。1階を改修して障害者が社会復帰するための支援施設と高齢者のデイケア施設を収める。外部と連続するように配した通りのような空間が2つの施設を結ぶ。設計者は3人のパートナーによるメジロスタジオだ。
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働く場を自由に選べる研究施設、若手の設計プラン(8)
ROKI 研究開発棟/設計:小堀哲夫建築設計事務所
自動車用ろ過機器の開発・製造を手掛ける会社の研究開発棟を建設する。設計者の小堀哲夫氏が提案したオフィス空間は、空調や照明が一定に保たれた均質空間とは一線を画する。温度も、明るさも、天井高も違った場所をちりばめて、オフィスワーカーに自由に移動しながら働いてもらう。
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80年の記憶を残しながら駅前旅館を改修、若手の設計プラン(7)
扇屋旅館再生プロジェクト/設計者:SALHAUS、6D、+i
約80年前に創業し、その後、増改築を重ねてきた新潟県村上市の駅前旅館。この旅館をリノベーションし、3世帯住宅を新たにつくる。3人のパートナー事務所SALHAUS、インテリアを中心とする6Dとプラスアイデザインが共同して設計を手掛けた。
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人命を守る機能に象徴性を付加、若手の設計プラン(6)
バングラデシュ・サイクロン・シェルター/設計:ジオ-グラフィック・デザイン・ラボ
しばしばサイクロンの被害に遭うバングラデシュに、避難用のシェルターをつくるに当たって2段階方式のコンペを実施。最優秀賞に輝いたのはジオ-グラフィック・デザイン・ラボの前田茂樹氏だ。外壁に現地特有の文様「メヘンディ」を描き、機能を確保するとともに地域性を表現した。
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6人の老人が支え合うシェアハウス、若手の設計プラン(5)
創和グループリビング/設計:渡邉健介建築設計事務所
間仕切りや扉なしで緩やかに区切られた空間でお互いに支え合いながら6人の老人が生活する。こんなシェアハウスのプロジェクトが進行中だ。高齢者の単身世帯の増加、孤独死などが社会問題になるなか、注目される。