若手の設計プラン
目次
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「リノベーション」の考え方で新築する福祉施設
<第43回(最終回)>Project M/設計:青木弘司建築設計事務所
形態操作によるアイコン(図像)としての強さや、過剰な演出を捨て、新築プロジェクトだが、「倉庫のような建物を改修していく」というコンセプトに切り替えた。これよって時間の積み重ねを感じさせるデザインを目指す。
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被災地における市民活動の復興を目指す交流施設
<第42回>(仮称)須賀川市市民交流センター/設計:石本建築事務所+畝森泰行建築設計事務所
東日本大震災で被災した市民活動・交流、子育て支援の拠点だった総合福祉センターに、図書館と公民館の機能を加えて新築し、中心市街地のにぎわいの拠点づくりを目指す。
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元工場を農業の6次産業化の拠点に転用
<第41回>木島平村農の拠点施設/設計:スターパイロッツ
元工場の建物の雰囲気を残しながら、地域を持続させるための農業の6次産業化の拠点に改修する。厳寒地でもある点を考慮しながら、観光客、村民ともに楽しむことのできる施設を目指す。
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旧軽の自然を楽しむ「空中散策路」を持つ店舗
<第40回>沢村旧軽井沢店(ベーカリー&レストラン)/設計:田辺雄之建築設計事務所
まちに開くように店舗をつくり、内部のにぎわいを伝えるとともに、旧軽井沢の昔の雰囲気を取り戻すきっかけとなる拠点を目指す。観光客はそこで自由に過ごし、様々な視点から軽井沢の自然を楽しむことができる。
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議論を誘発する広場のような図書館
<第39回>東京大学総合図書館新館「アカデミック・コモンズ」/設計:東京大学川添研究室+東京大学施設部+清水建設
噴水のある広場をリノベーションし、地下に図書館を建設する。トップライトからの光が注ぐ地下1階は、議論を中心とした知的活性度の高い活動を誘発する場所とする。その下に深く、蔵書機能を配置する。
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小さく手を加えて老舗温泉旅館の持続可能性を高める
<第38回>まるほん旅館改修プロジェクト/設計:久保都島建築設計事務所
増改築を重ねてきた老舗温泉旅館の課題を予算内で解決する最も効果的な方法を探った。改修する場所を風呂小屋と食堂に絞った上で、滞在型施設として快適性を高めることを狙っている。
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若い世代をターゲットにした「シェア別荘」
<第37回>みんなの別荘プロジェクト/設計:松井亮建築都市設計事務所
神奈川県箱根町で「シェア別荘」の展開が始まろうとしている。既存の保養所を改修し、企業単位の使い方だったものを家族単位に対応できるものに切り替える。
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木製の波型耐力壁が並ぶ開放的な園舎
<第36回>ゆたか幼稚園新築工事計画/設計:SUGAWARADAISUKE一級建築士事務所
子どもが敷地全体を五感で感じ、身体の感覚を拡張できるような多様な居場所を持つ園舎を目指している。木製の波型の耐力壁が様々な「距離感」を生み出し、遊戯室を中心に子どもの遊びの空間が園庭まで連続するのが特徴だ。
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水辺の再生に向けて木製パネルで改修、若手の設計プラン(35)
HS project/設計:栗田祥弘建築都市研究所
2020年の東京五輪開催に向けて整備が進む臨海部で、地域の事業者が既存の建物の改修計画を進めている。設計者が提案したのは、木製スクリーンを使って建物の印象を変えるとともに、水辺に人を誘い出すプランだ。
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過疎化する中山間に木造のサテライトオフィス、若手の設計プラン(34)
えんがわオフィスアーカイブ棟/設計:伊藤暁+須磨一清+坂東幸輔
過疎化が進む中山間地域で3人の若手建築家がサテライトオフィスの建設計画に取り組んでいる。これまでに同じ町内で古民家を再生したオフィスなどを手掛け、それらの建物とともに商店街の一画の広場を囲む形になる。町民や新たに流入するオフィスワーカーなどの思いを建築の力でまとめることも一つの役割になる。
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屋内外が多様につながる賃貸集合住宅、若手の設計プラン(33)
赤坂6丁目プロジェクト 設計:KINO architects
賃貸集合住宅の場合、事業性を重視し、限られた住戸プランを積み重ねて全体を構成することが多い。本プロジェクトは、そのなかで多様な居住環境を提供するために、レンガブロックを透かし積みにしたスクリーンを用い、居室と屋外のつながり方にバリエーションを持たせている。同時に、一般的なマンションの建ち並ぶ街の風景…
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周辺環境とつながる外観を持つグループホーム、若手の設計プラン(32)
(仮称)ニッケグループホーム加古川 設計:三浦慎建築設計室
周囲の景観と連続する大きな切妻屋根を架け、グループホームに「家」としての表情を持たせている。プランニングの面でも、街の側に開いたパブリックスペースを設けるなど周辺との“つながり”を意識しているのが特徴だ。
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スキップフロアの空間構成を持つ保育園、若手の設計プラン(31)
育良保育園改築工事 設計:松島潤平建築設計事務所
スキップフロアや大階段を使って全体を構成する保育園の建設が長野県で進んでいる。赤い大屋根の下に多様なオープンの空間をつくり、柔軟に使い分けることができる仕組みにした。そこでの空間体験を通じ、建物に対する子どもたちの思いが育つことを設計者は期待している。
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学生と住民を巻き込んでつくる地域の環境教育施設、若手の設計プラン(30)
鶴ケ島・未来との対話プロジェクト2013(環境教育施設整備事業)
設計:藤村龍至+工藤和美/東洋大学ソーシャルデザインスタジオ公共施設づくりに、地域住民を巻き込む取り組みを建築家の藤村龍至氏、工藤和美氏らが進めている。単純に意向を汲み取るワークショップではなく、建築学科の学生を動員し、段階的に大量の建築模型をつくりながら、多様な選択肢のなかから案を絞り込んでいく点が特徴だ。実施プロジェクトに適用する試みが、完成を控えている…
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学びの活動が垣間見える縦積みの校舎、若手の設計プラン(29)
A-School Project/設計:フジワラテッペイアーキテクツラボ
活力を失ってしまった地方都市の駅付近のまちに、積極的に学ぶ学生たちの姿が垣間見える専修学校の校舎をつくる。積み重なった教育空間で生まれる人と人、人と場所の関係がにじみ出し、まちとの関係も緊密になっていくような将来を構想する建築プロジェクトが、埼玉県深谷市で進んでいる。
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敷地内に客を招き入れる賃貸集合住宅、若手の設計プラン(28) <追加情報あり>
Dragon Court Village(ドラゴン・コート・ビレッジ)/設計:Eureka(エウレカ)
郊外に立地し、住人同士や客が緩やかに空間をシェアする賃貸集合住宅だ。門型のボリュームを組み合わせてプランのバリエーションを生み出すと同時に、フレキシブルに用いることのできるアネックスや共有スペースを配置。駐車スペースを工夫し、通風を考慮した「隙間」も随所に設けている。
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市民と観光客に広場のように開放する劇場施設、若手の設計プラン(27)
伊豆の国市伝統芸能会館(仮称)/設計:サードパーティ
歴史のある温泉街に、伝統芸能をテーマとし、ホールを中心に持つ建物をつくる。設計者として選ばれたサードパーティ(Thirdparty)の提案は、空間全体が溶け合うように連なり、イベント時だけに用いるのではなく、市民と観光客が常時立ち寄って広場のように使うことのできる施設にするというものだ。
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110m×70mの無柱空間に広場兼カフェテリア、若手の設計プラン(26)
CAFETERIA FOR UNIVERSITY(大学のカフェテリア)/設計:石上純也建築設計事務所
大学の敷地内に計画された広場兼カフェテリアの着工のめどがようやくついた。大屋根と地面の間に挟まれた無柱の空間は、石上純也氏が「建築とランドスケープの融合」を意図し、技術的な課題の検証と合わせながら時間をかけて設計を進めてきたものだ。日常からは切り離された過ごし方のできる、学生にとっての新しい居場所と…
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メコン川沿いの大邸宅の内装を見直す、若手の設計プラン(25)
PAKSE Project(パクセ・プロジェクト)/設計:山口誠デザイン
雄大なメコン川に面したラオスの敷地。タイ人の建築設計による迎賓館のような邸宅は施工が進んでいた。だがオーナーは日本人によるシンプルなインテリアデザインを求め、リノベーションする形で内装デザインを見直した。工程が読めず、風土や生活のリズム、材料なども日本とは異なるなか、山口誠氏はゆっくりと設計を詰めて…
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闇市の横丁文化を継承する飲み屋群、若手の設計プラン(24)
ハモニカ横丁ミタカ/設計:マウントフジアーキテクツスタジオ
戦後には日本の各所に闇市が開かれ、横丁文化が築かれていった。闇市から続く東京・吉祥寺のハモニカ横丁の新たな形ができないか。こう考えたクライアントが、設計者として白羽の矢を立てたのは、原田真宏氏と原田麻魚氏のパートナーによるマウントフジアーキテクツスタジオだ。JR三鷹駅前の1階テナントフロアを飲み屋街…