日経アーキテクチュア1月25日号では、2014年以降に竣工する主要プロジェクト92件を用途ごとにまとめた「プロジェクト予報」を掲載した。毎年掲載している企画だが、今回はこれまでにも増して海外で日本の設計者が手掛けるプロジェクトが目立った。ここではその中からフランス・パリで進行中の2件を紹介する。

 1つは2014年7月竣工を目指して建設中の「マクドナルド大通り倉庫跡複合公共施設」。設計は隈研吾建築都市設計事務所だ。オランダの設計事務所OMAがマスタープランを作成するパリ市の旧マクドナルド大通り倉庫地区の開発計画の1つで、集合住宅をオディール・デック、オフィス棟をクリスチャン・ド・ポルザンパルクなどの設計で建設中。隈研吾建築都市設計事務所が担当するのは、幼稚園と学校、体育館、職員用住居などからなる複合施設だ。2009年の設計コンペを経て、隈事務所が当選。現在、工事が進行中だ。

マクドナルド大通り倉庫跡複合公共施設の外観(資料:隈研吾建築都市設計事務所)
マクドナルド大通り倉庫跡複合公共施設の外観(資料:隈研吾建築都市設計事務所)

マクドナルド大通り倉庫跡複合公共施設の各階構成図(資料:隈研吾建築都市設計事務所)
マクドナルド大通り倉庫跡複合公共施設の各階構成図(資料:隈研吾建築都市設計事務所)

マクドナルド大通り倉庫跡複合公共施設の外観(資料:隈研吾建築都市設計事務所)
マクドナルド大通り倉庫跡複合公共施設の外観(資料:隈研吾建築都市設計事務所)

 鉄筋コンクリート造・一部鉄骨造で、地下1階・地上6階建て。延べ面積1万6744.77m2のうち、6018.89m2は改修だ。新築部分には、複数の異なった施設の上部を折り紙状の大屋根が覆う。

 隈研吾氏は2013年12月に東京・南青山にオープンした「サニーヒルズ」など、国内のプロジェクトでは木を使うことに積極的に取り組んでいる。パリのこのプロジェクトでは、折り紙状の大屋根を木と亜鉛鋼板で架ける。大屋根の幾何学的なフォルムは長く単調なファサードのリズムを壊す役目を持つ。また、中庭側(校庭)のファサードは折り紙屋根の延長として亜鉛鋼板を縦方向に使ったダブルスキンとなっており、各々の傾きが音響効果や日除け効果、風向調節効果などを併せ持つ。

マクドナルド大通り倉庫跡複合公共施設の内部(資料:隈研吾建築都市設計事務所)
マクドナルド大通り倉庫跡複合公共施設の内部(資料:隈研吾建築都市設計事務所)

マクドナルド大通り倉庫跡複合公共施設の内部(資料:隈研吾建築都市設計事務所)
マクドナルド大通り倉庫跡複合公共施設の内部(資料:隈研吾建築都市設計事務所)