サッカーのワールドカップ(W杯)が6月に始まるブラジルで、会場となる12競技場のうち、6カ所の工事が当初の完成予定としていた2013年12月末に間に合わなかった。

日本が1次リーグでギリシャと対戦するナタルのドナス競技場。2013年12月に撮影。屋根や外構などの工事が続き、13年末の工期に間に合わなかった(写真:W杯ブラジル大会組織委員会)
日本が1次リーグでギリシャと対戦するナタルのドナス競技場。2013年12月に撮影。屋根や外構などの工事が続き、13年末の工期に間に合わなかった(写真:W杯ブラジル大会組織委員会)

 13年10月の記者会見で準備の遅れを問われた同国スポーツ省のアルド・レベロ大臣は、「花嫁が遅れたからといって、開かれなかった結婚式はない」と冗談交じりに答えた。しかし、国際サッカー連盟(FIFA)のゼップ・ブラッター会長は、「7年もの期間が与えられたにもかかわらず、準備を始めるのが遅すぎる」と同国政府を批判した。

 完成を急ぐ競技場や周辺の建設現場では、これまでに少なくとも6人が死亡する事故が発生した。背景には、建設費の上昇や資金計画の見通しの甘さといった問題がある。20年の五輪開催を控え、これから工事が本格化する日本にとっても人ごとではない。

工期の13年12月末までに完成しなかった6つの競技場を赤色で示す。サンパウロにあるイタケロン競技場の完成は14年4月中旬、クリチバのバイシャーダ競技場は3月下旬にそれぞれずれ込む見通し。残りの4競技場は1月末の完成を目指す(資料:日経アーキテクチュア)
工期の13年12月末までに完成しなかった6つの競技場を赤色で示す。サンパウロにあるイタケロン競技場の完成は14年4月中旬、クリチバのバイシャーダ競技場は3月下旬にそれぞれずれ込む見通し。残りの4競技場は1月末の完成を目指す(資料:日経アーキテクチュア)