創建時の姿を復元

 2段階の曳き家工事を終えた旧館は、後年に増築されていた2階の一部を撤去してベランダを設けるなど、創建時の姿を復元する。基礎部分の免震化も計画している。

 さらに、建物の北西側を新たに増築して、再活用するために必要な諸室を集約する。西武プロパティーズでは「旧皇族建築として当時の面影を残しつつ、建物として命ある文化財を目指す」と説明している。

旧館の完成イメージを東側から見る。後年に増築されていた2階北側を一部撤去して、ベランダを復元する(資料:西武プロパティーズ)
旧館の完成イメージを東側から見る。後年に増築されていた2階北側を一部撤去して、ベランダを復元する(資料:西武プロパティーズ)

 新築する2棟の超高層ビルのうち、オフィス・ホテル棟は鹿島・鉄建・熊谷組JVが施工。現在は、既存の地下躯体を解体しているほか、新築の山留め工事や掘削工事を進めている。

 鉄骨造の制振構造で、地上1~4階に商業施設、5~28階にオフィス、30~36階にホテルが入る。オフィスは1フロア1000坪超の大きな空間を確保。ホテルは客室数が250室程度で、西武グループのプリンスホテル(東京都豊島区)が旧館とともに運営する。

 住宅棟は西武建設・大林組・前田建設工業JVが施工。こちらも現在、山留め工事や掘削工事が進んでいる。建物は鉄筋コンクリート造で免震構造を採用する。フロントコンシェルジュなどのサービスを提供する約130戸の賃貸住宅となる計画だ。

 オフィス・ホテル棟と住宅棟の工期は13年1月から16年5月ごろまで。設計・監理は日建設計が担当。外装デザインは米国の設計事務所であるコーン・ペダーセン・フォックス・アソシエーツ(KPF)が手掛けた。

南側から見た敷地全体の完成イメージ。左がオフィス・ホテル棟で、右が住宅棟(資料:西武プロパティーズ)
南側から見た敷地全体の完成イメージ。左がオフィス・ホテル棟で、右が住宅棟(資料:西武プロパティーズ)