都心直結線……空港乗り継ぎと通勤を便利に
さらに、成田空港と羽田空港を都心を経て1時間以内で結ぶ高速新線「都心直結線」も構想が具体化しつつある。都心と両空港を直結して国際競争力の向上を目指す。6月に閣議決定した「日本再興戦略」にも盛り込まれた。国土交通省が14年度予算の概算要求で3億円の調査費を計上した。
具体的には、泉岳寺駅(港区)と押上駅(墨田区)の間の11kmを直線的に結ぶ。途中駅は東京駅西側の丸の内仲通り直下に設ける「新東京駅」だけとして、高速運転する。
都心から成田空港へは2010年に成田スカイアクセス線が開業。京成電鉄が運行するスカイライナー号で日暮里駅から空港第2ビル駅までが最短36分で結ばれた。都心から羽田空港へも京浜急行電鉄が京急蒲田駅を改良するなどして、品川駅から羽田空港国際線ターミナル駅までを最短13分で結んでいる。
両線は共通の直通先である都営地下鉄浅草線を通じて1本につながっているものの、浅草線内で高速運転ができず高速化のネックになっている。都心直結線は都営地下鉄浅草線の高速バイパス線に位置付けられる。
都心直結線は最高時速160kmの高速運転を目指す。目標として掲げた所要時間は新東京駅から羽田空港までが18分、同成田空港までが36分だ。羽田空港から成田空港までは1時間弱、成田空港から品川までは50分弱になるとみられる。
この路線には起源がある。前述の答申18号にも盛り込まれた浅草線の東京駅接着ルートがそれに該当する。浅草線の日本橋駅と宝町駅からそれぞれ分岐して東京駅八重洲口に向かうT字形の路線だ。浅草線内に追い抜き線を整備することも答申に盛り込まれた。
都心直結線としての検討の際にも、工事費が安いなどの理由から浅草線に並行して八重洲口も経由する案が候補に挙がっていた。しかし、ビジネス街としての集積が進む丸の内を経由して通勤利用客をより多く取り込むことで、収益性を高める方針を固めた。