経済波及効果は3兆円と試算

9月10日、五輪カラーに彩られた東京都庁舎。都民報告会には多くの人が集まった(写真:ケンプラッツ)
9月10日、五輪カラーに彩られた東京都庁舎。都民報告会には多くの人が集まった(写真:ケンプラッツ)
都民報告会には、猪瀬直樹・東京都知事らが参加。祝勝のくす玉が割られた(写真:池谷 和浩)
都民報告会には、猪瀬直樹・東京都知事らが参加。祝勝のくす玉が割られた(写真:池谷 和浩)

 東京五輪の開催決定を受け、安倍晋三首相は会見し「15年続いたデフレや縮み志向の経済を、五輪開催を起爆剤として払拭していきたい」と表明した。

 市場には建設や不動産、観光など幅広い分野に好影響が波及するとの期待が広がっている。東京都が12年6月に公表した五輪開催に伴う効果の試算では、施設整備費や大会運営費などの需要増加額を約1兆2200億円、13年から20年までの直接的な経済波及効果を約3兆円、雇用誘発数を約15万2000人としている。これは、2020年大会で使う競技会場や選手村などの大会関係施設だけが対象で、道路や鉄道などのインフラ整備費は除いた試算だ。

 五輪開催決定に対し、経済界からは歓迎の声が相次ぐ。

 「東京開催が決定されたことで、首都圏の再開発やインフラの整備、外国人観光客の誘致などにも弾みがつく」(日本経済団体連合会)

 「都市の国際競争力強化をはじめとした成長戦略の実現を後押しすることが期待されるとともに、さらに、この機をとらえ、我が国の魅力ある都市の再生や環境に優れたまちづくりなどの先進的な取り組みを海外に向けて発信することもできるなど、その効果は計り知れない」(不動産協会)

 「世界の人々が日本の優れた環境技術や成熟した都市の姿、そして東北地方の力強い復興を目の当たりにされ、これまで以上に、日本を頼りがいのあるパートナーと思っていただけるものと期待している」(日本建設業連合会)

 1964年の五輪で都市基盤をつくった東京。東日本大震災によって大都市特有のもろさも浮き彫りになった。世界を見ると、都市間競争が激化し、アジアの都市の追い上げを受けている。時代の変化に合った改造が求められたタイミングで、56年ぶりに五輪がやって来る。東京をバージョンアップする絶好の機会をもたらしてくれるはずだ。