「環二通り」が大動脈に

 東京五輪の大会プランと並行して、2020年をゴールとした東京都心部の大改造計画がすでに進行している。そのベースとなっているのは、都が11年12月にまとめた中長期的な都市戦略「2020年の東京」だ。国際競争力の強化、高度防災都市の実現、低炭素で高効率な自立・分散型エネルギー社会の創出などを目的として掲げている。

 象徴的なプロジェクトが、オリンピックスタジアムと選手村を結ぶ大動脈となる環状2号線、通称「環二通り」。かつて、「幻のマッカーサー道路」と呼ばれた道路である。2015年度に虎ノ門から豊洲地区までの区間が完成し、臨海部と都心との交通アクセスを高める。大会開催時には、オリンピック・レーンが設置される。選手村からオリンピックスタジアムまでは15分短縮して、10分で到着できるようにする計画だ。

環状2号線の計画図。現在事業中の虎ノ門~新橋間は、幻のマッカーサー道路と呼ばれた。虎ノ門から新橋、汐留、勝どき、晴海、豊洲を経て有明に至る(資料:東京都)
環状2号線の計画図。現在事業中の虎ノ門~新橋間は、幻のマッカーサー道路と呼ばれた。虎ノ門から新橋、汐留、勝どき、晴海、豊洲を経て有明に至る(資料:東京都)

 環状2号線と一体で開発している超高層ビル「虎ノ門ヒルズ」は、都市再生のモデルケースと位置付けられている。2014年に竣工する予定だ。住宅、オフィスのほか、高級ホテル、大規模カンファレンス施設などが入居する。新橋・虎ノ門地区は、国際競争力の強化に取り組む「アジアヘッドクオーター特区」に指定されており、虎ノ門ヒルズはその中核施設となる。

新橋側から見た「虎ノ門ヒルズ」。超高層ビルの建設と同時に、都道・環状2号線の建設が進む。2月に撮影(写真:森ビル)
新橋側から見た「虎ノ門ヒルズ」。超高層ビルの建設と同時に、都道・環状2号線の建設が進む。2月に撮影(写真:森ビル)

 超高層を貫く環状2号線は、虎ノ門ヒルズの北西側にある入り口から地下へと入り、築地付近で再び地上レベルに戻る。地下トンネルの地上部には幅員40mの地区内道路を整備する。最大で片側約13mの歩道を設ける計画で、都は新たなシンボルストリートとして位置付ける。

 虎ノ門周辺ではこのほか、民間の大規模再開発の計画が相次ぐ。虎ノ門1丁目地区再開発計画、虎ノ門9森ビル周辺再開発計画、虎ノ門パストラル跡地再開発計画、気象庁虎ノ門庁舎(仮称)・港区立教育センター整備事業、虎ノ門2丁目地区再開発計画などのプロジェクトが目白押しだ。

9月4日に竣工した「アークヒルズサウスタワー」。「六本木21森ビル」と「六本木25森ビル」を一体的に建て替えた複合オフィスビルだ。森ビルは、虎ノ門1丁目地区再発計画、虎ノ門森ビル周辺再開発計画など、ナンバービルの再々開発を積極的に進める考えだ(写真:森ビル)
9月4日に竣工した「アークヒルズサウスタワー」。「六本木21森ビル」と「六本木25森ビル」を一体的に建て替えた複合オフィスビルだ。森ビルは、虎ノ門1丁目地区再発計画、虎ノ門森ビル周辺再開発計画など、ナンバービルの再々開発を積極的に進める考えだ(写真:森ビル)