愛知県稲沢市、名古屋鉄道国府宮駅ほど近くの尾張大国霊神社(おわりおおくにたまじんじゃ)で、伝統木造構法による新築建物として国内最大級の規模となる儺追殿(なおいでん)の施工が最盛期を迎えている。
伝統木造建築の技法を現代的な視点で捉え直し、その持てる構造性能の真価を発揮させる工夫を施したという。上棟直後の2013年8月上旬、現地を取材した。
築50年たち老朽化のため建て替えへ
国府宮神社、国府宮の名で知られる尾張大国霊神社は、尾張地方の総鎮守神として広く信仰されており、毎年旧暦の1月13日に行われる「国府宮はだか祭」には10万人余りの見物客が訪れる。そのはだか祭の舞台が儺追殿である。
築50年が経過した旧儺追殿の老朽化が著しくなったことから、建て替えることになった。
建て替えに伴い、大勢のはだか男たちによる祭のクライマックス「儺追神事(なおいしんじ)」まで三日三晩つづく神男(しんおとこ:毎年明けに希望者から抽選で1人選定される)の「おこもり」のための施設機能と、祭当日に神男に接するかたちでなされる祈祷に儺追殿を訪れる多くの人の動線を刷新し、建築計画に盛り込んだ。既存建物群との位置関係は変わらない。
現場に隣接する楼門(ろうもん)と拝殿は重要文化財に指定されている。