ジョイントラインの通りにも繊細な神経

 次に、仮固定の状態から本定着の作業に移る。膜にしわが寄らないように少しずつ、バランスを取りながら四方に張力を導入し、梁下の最終位置に定着する。この作業は昼間でも可能だ。

 張力の導入が完了すると、梁下にある定着金物に膜端部を挟み込んで固定する。隣接する膜端部とのジョイント部分に化粧となる膜を溶着すると、一枚物の膜屋根の一部が完成だ。現場での膜の溶着作業は上向きになるので、レールを敷いて溶着機をジャッキで持ち上げて実施した。

 現場溶着部は大梁の影が落ちるので跡が目立ちくにい。工場で溶着したジョイントラインは下から見えるが、現場で張り合わせたときに全体を通じてきれいに通りがでるようにするのが、張り込み作業の腕の見せ所だ。

たくさんの人手で膜を四方に、少しずつ引っ張っていく(写真:JR東日本、2011年2月24日撮影)
たくさんの人手で膜を四方に、少しずつ引っ張っていく(写真:JR東日本、2011年2月24日撮影)

たくさんの人手で膜を四方に、少しずつ引っ張っていく(写真:JR東日本、2011年2月24日撮影)
たくさんの人手で膜を四方に、少しずつ引っ張っていく(写真:JR東日本、2011年2月24日撮影)

たくさんの人手で膜を四方に、少しずつ引っ張っていく(写真:JR東日本、2011年2月24日撮影)

張り終わった膜屋根を上から見る(写真:JR東日本)
張り終わった膜屋根を上から見る(写真:JR東日本)

 どの方向に引っ張ってみるかの判断にとても時間がかかったこともあったし、最初の1、2枚では膜の挙動などが読み切れず、次のスパンとの調整で少し緩めて張り直したこともあったという。夜間のロール吊り込みから1スパン分の張り込みを完了するのに2週間ほどかかる。これらの作業は人海戦術で、「手作り感満載」 (川端弘樹所長)なのだ。

 膜の素材は「四フッ化エチレン樹脂コーティングガラス繊維布・酸化チタン光触媒微粒子含有」というとても長い名前のもので、酸化チタンの光触媒効果で汚れが流れ落ちやすいのだという。