膜屋根のほぼ全体が姿を現した東京駅八重洲口。軽快な印象の構造物だ(写真:勝田尚哉、2013年7月20日撮影)
膜屋根のほぼ全体が姿を現した東京駅八重洲口。軽快な印象の構造物だ(写真:勝田尚哉、2013年7月20日撮影)

左手前側がサウスタワー、右奥がノースタワー(写真:勝田尚哉、2013年7月20日撮影)
左手前側がサウスタワー、右奥がノースタワー(写真:勝田尚哉、2013年7月20日撮影)
大屋根は美しい構造だ。工事エリアの段階的な縮小、解放が進んでいる(写真:勝田尚哉、2013年7月20日撮影)
大屋根は美しい構造だ。工事エリアの段階的な縮小、解放が進んでいる(写真:勝田尚哉、2013年7月20日撮影)

四方、上空・地下への安全確保と関係者調整

 東京駅八重洲口を挟むグラントウキョウノースタワーと同サウスタワーをペデストリアンデッキで結び、その上を膜構造の大屋根で覆う。合わせてみどりの窓口や店舗、高速バス乗り場を整備する。これら施設をまとめて「グランルーフ」と呼ぶ。交通結節機能を強化して、快適な歩行者空間を整備するのが事業の目的だ。

 大屋根とペデストリアンデッキは長さ約230m、大屋根の高さは最大で約27m。大規模な膜構造という特殊な構造を含んだこの工事は、技術面にも現場の運営面にも様々な難しさがあった。

 施工を担当する鹿島・鉄建JVの川端弘樹所長に話を聞いた。「駅機能の維持や鉄道施設の安全対策の調整だけでなく、両側のタワービルや地下街、バスパースや駅前広場など周囲のあらゆる施設との調整が必要だった」と言う。

 川端所長にまずは、特徴的な大屋根の鉄骨の建て方について尋ねた。

グランルーフの平面図(資料:JR東日本)
グランルーフの平面図(資料:JR東日本)