「音楽を文章で表現するのは、建築をダンスで表現するようなものだ」と言ったのは米国の俳優だったか(*1)。では、この音楽を内包した建築を、今からここに文章で表現しようとするのは無謀な試みなのか?

モシェ・サフディの「カウフマン・センター」

 米国中部のカンザスシティーに、2011年9月、カウフマン・センター・フォー・ザ・パフォーミング・アーツ(以下、カウフマン・センター)が完成した。1800席のバレエ・オペラ劇場と、1600席のクラシック用のコンサートホールを持つ、約3万3000m2の大施設である。

アプローチから見るカウフマン・センター。カンザスシティーのダウンタウン南の端、アートギャラリーが立ち並ぶ、この街でも最もアーティスティックと言われるクロスロード・アート・ディストリクトに隣接する小高い丘の上に位置する。カンザスシティーの新しい顔として注目を集めている(写真:Arup)
アプローチから見るカウフマン・センター。カンザスシティーのダウンタウン南の端、アートギャラリーが立ち並ぶ、この街でも最もアーティスティックと言われるクロスロード・アート・ディストリクトに隣接する小高い丘の上に位置する。カンザスシティーの新しい顔として注目を集めている(写真:Arup)

 建築主は民間財団であるカウフマン財団、総工費4億1300万ドル(日本円換算で約404億円)。建築家にはシンガポールのマリーナ・ベイ・サンズの設計で有名になったモシェ・サフディ氏を起用した。

 今年4月、アラップが行ったこの建築の構造エンジニアリングに対して、ACEC(米国コンサルタント技術者協会)から最高立案者に贈られる「グランド・コンセプター賞」が授与された。

タイトル01
ロビー内の様子(写真:Arup)
タイトル02
音響専門家に永田音響設計の豊田泰久氏を迎えてつくられた(写真:Arup)