ミサワホームのフューチャー・ウッド・システム(FWS)構法を初採用した「ミサワホーム静岡事務所ビル」が6月16日に竣工し、7月から業務を開始した。木質構造ではほとんど例のない2方向ラーメン構造を用いて、スパンの有効寸法9.1mの大空間を実現。工事費も他構造と比べて遜色のない坪65万円に抑えた。

建設中のミサワホーム静岡事務所ビル(写真:ミサワホーム)
建設中のミサワホーム静岡事務所ビル(写真:ミサワホーム)

 FWS構法は、2010年に施行された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」など木造建築への追い風を背景に、ミサワホームグループのミサワホーム総合研究所が中心となって開発した。高強度の木質接着複合パネルなどを張り合わせて中空構造の柱、梁とし、これらを金属製のジョイントを用いて接続。2方向の木質ラーメン構造を構成するもの。

 FWS構法の採用第1号となったミサワホーム静岡事務所ビルは、静岡市駿河区のミサワホーム技術研修所跡地にミサワホームが昨年の10月から建設を進めてきた。地上3階建て、延べ面積2894.93m2。FWS構法による架構の最大スパンは、柱の芯・芯で10m、有効寸法で9.1m。施工はミサワホームグループのテクノエフアンドシーが担当した。

完成したミサワホーム静岡事務所ビルの外観。メーンエントランスは2階にある(写真:ミサワホーム)
完成したミサワホーム静岡事務所ビルの外観。メーンエントランスは2階にある(写真:ミサワホーム)

1階の大半はピロティになっている。1階も2方向木質ラーメン構造(写真:ミサワホーム)
1階の大半はピロティになっている。1階も2方向木質ラーメン構造(写真:ミサワホーム)

 敷地は傾斜地で、1階の大半はピロティとなっている。メーンエントランスのある2階は、住設機器類の実物展示コーナーやキッズルーム、大会議室などがある。3階はオフィススペースとし、屋上面には約50kWの太陽光発電パネルを設置した。

屋上面には約50kWの太陽光発電パネルを設置した(写真:ミサワホーム)
屋上面には約50kWの太陽光発電パネルを設置した(写真:ミサワホーム)

 準耐火構造なので、構造体は石こうボードなどにより被覆している。そのため、構造に木質パネルを使っていることは、見た目には分からない。

室内。木質パネルの構造体は石こうボードで覆われて見えない。中央の柱はモザイクタイル張り(写真:ミサワホーム)
室内。木質パネルの構造体は石こうボードで覆われて見えない。中央の柱はモザイクタイル張り(写真:ミサワホーム)


▽ TARGET2020シンポジウム「住宅以外に広がる低層木造の可能性」
~木材活用の知られざるメリットと実現を阻む障壁~
申込・詳細はこちら