ナチュラルな素材とトップレベルのテクノロジーを駆使して生み出したテキスタイルを特徴とするファッションブランド「pas de calais」の米国におけるフラッグシップショップである。ところはニューヨークでもアートシーンの中核をなすソーホー地区。「売り場もブランド力の1つとして、ギャラリーのイメージでデザインした」とデザインを手がけた橋本夕紀夫氏は語る。天井高4.7m、幅27mの大空間に、織物の機械に糸を張った様子を1000本以上のワイヤーで描き出した。

本物件が入居する前には2つのショップが入っていたが、界壁を取り払い、複雑だった床の段差もフラットにして大きなワンルームに仕立て直した。既存のティンシーリングパネルを張った天井も、レンガの壁も白く塗装。長手方向には高さを変えた2本の照明ボックスを通した。ボックスを吊るかたちで、それぞれに異なるジグザグの軌跡を描くワイヤーを張って、壁や床に取り付けたターンバックルでテンションをかけ、ワイヤーの角度をキープしている。樹脂コーティングしたスチールのワイヤーは直径6mm(写真:ナカサアンドパートナーズ)
本物件が入居する前には2つのショップが入っていたが、界壁を取り払い、複雑だった床の段差もフラットにして大きなワンルームに仕立て直した。既存のティンシーリングパネルを張った天井も、レンガの壁も白く塗装。長手方向には高さを変えた2本の照明ボックスを通した。ボックスを吊るかたちで、それぞれに異なるジグザグの軌跡を描くワイヤーを張って、壁や床に取り付けたターンバックルでテンションをかけ、ワイヤーの角度をキープしている。樹脂コーティングしたスチールのワイヤーは直径6mm(写真:ナカサアンドパートナーズ)

壁から持ち出したスチールロッドが、壁面ラックのハンガーパイプを支える。ワイヤーはハンガーパイプに切った溝を通っており、約100mmのピッチを維持している。足元にずらりと並ぶ金属部品がターンバックル。ワイヤーの施工だけで1カ月を要したと言う(写真:ナカサアンドパートナーズ)
壁から持ち出したスチールロッドが、壁面ラックのハンガーパイプを支える。ワイヤーはハンガーパイプに切った溝を通っており、約100mmのピッチを維持している。足元にずらりと並ぶ金属部品がターンバックル。ワイヤーの施工だけで1カ月を要したと言う(写真:ナカサアンドパートナーズ)

ディスプレイ什器の1つ。アンティークショップが点在するニューヨークのチェルシーで入手した窓枠を幾重にも重ねて什器にしている。エントランスの壁にも同じ仕様のパーツを垂直に設置(写真:ナカサアンドパートナーズ)
ディスプレイ什器の1つ。アンティークショップが点在するニューヨークのチェルシーで入手した窓枠を幾重にも重ねて什器にしている。エントランスの壁にも同じ仕様のパーツを垂直に設置(写真:ナカサアンドパートナーズ)

名称 pas de calais SOHO, New York Flagship Store

  • 内装設計 橋本夕紀夫デザインスタジオ(橋本夕紀夫、徳田雅子)
  • 業態   ブティック・ギャラリー
  • 住所   482 Broome Street, New York, NY, US
  • URL    http://www.pasdecalais.jp/
  • 営業時間 11:00~19:00(日曜日のみ 12:00~18:00)
  • 定休日  不定休
  • 協力   東海林弘靖/LIGHTDESIGN(照明)、荒川技研工業(ワイヤー)
  • 施工   MOND DESIGN ASSOCIATES
  • 床面積  148m2

阪口公子=ライター

 本記事は、有料メールマガジン「日経デザイン Pick's インテリアデザイン‐商空間・超速便」vol.043(2013年6月26日配信)より抜粋。日経デザイン Pick's インテリアデザイン‐商空間・超速便は、飲食店、物販店、各種サービス施設など、商空間デザインの最新情報をいち早くお届けします。商空間のデザインを熟知した写真家集団と専門ライターが、最新物件を撮影・取材。施設の基本コンセプトや業態としての新規性から、デザイン上重要となるディテールや素材、新技術に至るまで、丁寧かつ簡潔に解説します。配信申し込み、サンプル確認などは、下記サイトからどうぞ。

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