六角形を四角形に「分解」する

構造設計を担当した日建設計の柳原雅直氏(写真:日経アーキテクチュア)
構造設計を担当した日建設計の柳原雅直氏(写真:日経アーキテクチュア)

 もう1つのアイデアが、鉄骨建て方の精度管理方法だ。

 この建物は六角形の平面形状を持つ。コアとなる内側の鉄骨フレームと外側のアウトフレームが2重の六角形を形成している。構造設計を担当した日建設計の柳原雅直氏は「柱によっては、6方向にブラケットが付いている。施工の難易度が高い形状だ」と話す。

 大成建設が採用したのは、下図のように六角形を分割して管理するやり方だ。そのうえで、最も内側に位置する3本の柱に、誤差±0.5mmという精度目標を設定した。「平面が四角形なら、普段から施工している形。3つの四角形を梁でつないだと思えば、精度管理がしやすくなる。内側の管理を厳しくして、徐々に外側に広げていくという考え方だ」(喜田所長)

分割のイメージ。四角形に分割することで、精度管理がしやすくなった(資料:取材をもとに日経アーキテクチュアが作成)
分割のイメージ。四角形に分割することで、精度管理がしやすくなった(資料:取材をもとに日経アーキテクチュアが作成)

中心となる3本の柱。誤差±0.5mmという目標値を設定した(写真:日経アーキテクチュア)
中心となる3本の柱。誤差±0.5mmという目標値を設定した(写真:日経アーキテクチュア)

左側に見える柱がコアとなる鉄骨フレーム。右に見えるアウトフレームまで、約13mのスパンがある(写真:日経アーキテクチュア)
左側に見える柱がコアとなる鉄骨フレーム。右に見えるアウトフレームまで、約13mのスパンがある(写真:日経アーキテクチュア)