オ―ヴ・アラップが情熱を注いだ橋

ダラムの歩行橋と大聖堂。歩行橋は1963年に竣工した。正式名称は「キングスゲート・ブリッジ」(写真:Arup)
ダラムの歩行橋と大聖堂。歩行橋は1963年に竣工した。正式名称は「キングスゲート・ブリッジ」(写真:Arup)

 当初、大学側が示した原案は、ウィア川の水面近くにスパン約40mの橋を架けるというものだった。学生は両岸でそれぞれ、土手の高低差15mを階段や斜路で昇降する。この予算は3万5000ポンド(当時のレートで3500万円。現在の貨幣価値で1億7000万円程度)。

 一方、オーヴ・アラップは、急な坂を下ってまた上がるのはエネルギーの浪費であり、この谷の深さを利用すべきである、と考え、川岸の2か所からV字に橋脚を伸ばし、4点で橋を支えるという案を提案した。こうすることで、支点間のスパンが20m程度となり、逆に経済的になるという内容だ。

橋の高さは17m、全長は106.7m。橋脚の支点間のスパンは20m(資料:Arup)
橋の高さは17m、全長は106.7m。橋脚の支点間のスパンは20m(資料:Arup)