長崎県佐世保市のテーマパーク「ハウステンボス」に、スマートハウスが完成した。澤田秀雄社長が実際に住んで効果を検証する。得られたノウハウやデータを生かして「スマートホテル」の建設につなげる青写真を描く。

ハウステンボス・スマートハウス。ハーバーへ向かう軸線を建物内部に取り込み、テラスによって住居を2分。回遊性のあるプラニングとした。屋根には太陽光発電パネルと太陽熱温水パネルが載っている。撮影日は5月20日(写真:日経アーキテクチュア)
ハウステンボス・スマートハウス。ハーバーへ向かう軸線を建物内部に取り込み、テラスによって住居を2分。回遊性のあるプラニングとした。屋根には太陽光発電パネルと太陽熱温水パネルが載っている。撮影日は5月20日(写真:日経アーキテクチュア)

 「このスマートハウスでテストして、世界最高の生産性を実現するスマートホテルをつくりたい」。報道関係者向けの内覧会が開かれた5月20日、ハウステンボスの澤田秀雄社長はこう意気込みを語った。

 長年赤字に苦しんできたハウステンボスに、大手旅行会社のエイチ・アイ・エスの創業者である澤田社長が再建に乗り込んでから3年。集客増に成功し、黒字転換を果たした澤田社長が次の目標に掲げるのは、観光ビジネス都市だ。その象徴が、「ハウステンボス・スマートハウス」。世界最先端の環境・省エネソリューションが実装される「進化型の見本市」として位置付けている。

スマートハウスの外観。高床式として、床の位置を地面から75cmの位置にした。地面を掘り返さなくても設備機器の入れ替えができるようにした(写真:日経アーキテクチュア)
スマートハウスの外観。高床式として、床の位置を地面から75cmの位置にした。地面を掘り返さなくても設備機器の入れ替えができるようにした(写真:日経アーキテクチュア)
スマートハウスのリビング・ダイニング。天井高は2.6m。快適性を求める澤田社長から強い要望があったという。この部屋に「見える化スクリーン」を設置する(写真:日経アーキテクチュア)
スマートハウスのリビング・ダイニング。天井高は2.6m。快適性を求める澤田社長から強い要望があったという。この部屋に「見える化スクリーン」を設置する(写真:日経アーキテクチュア)

 スマートハウスは、白い箱のようなモダンなデザインが特徴。木造と鉄骨造を組み合わせたハイブリッド構造の平屋で、延べ面積は83.5m2。園内にあるマリンクラブハウス前の海沿いの敷地に建設した。太陽光や風力などの再生可能エネルギーを活用し、消費電力のほぼすべてを賄う計画だ。設計は東京大学生産技術研究所が手掛けた。総工費は約4000万円。澤田社長自らが住み込んで、快適性などを検証する。