アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビに、アブダビ投資評議会(Abu Dhabi Investment Council)の本部が入居する、高さ150mのツインタワーが出現した。「アル・バハール・タワーズ」。2012年の完成で、CTBUH(高層建築と都市居住に関する国際委員会、米国・シカゴ)の「2012年超高層ビル 革新賞」を受賞した。その理由は、昆虫の巣のような、植物のような何とも表現しがたい外観に象徴される、様々な試みによるものである。
イスラムの伝統、環境、バイオミミクリー――「三位一体」のコンセプト
アル・バハール・タワーズのコンセプトは、「イスラムの伝統建築」に加え、「サステイナブルな技術」と「バイオミミクリー的推論」という3点を統合する、というものだ。バイオミミクリーとは生物模倣のことを言い、生物の形態や機能をヒントに科学技術などに応用する手法。ミツバチの巣の構造を模したハニカム構造が有名である。
このコンセプトを実現するために考え出されたのが、アル・バハール・タワーズの東西南面を覆う可動式の外装スクリーンである。以下にコンセプトをひとつずつ解説したい。