この練りゴムと、接着剤を塗布された金属板が、金型に組み込まれる。金型は加熱装置に入れられ、長時間かけて加熱・加圧し、ゴムと金属板を接着する。

 この工程は「加硫接着」と呼ばれる。

 「加硫接着は、ゴムと鋼板との接着のなかで最も強固で、耐久性が高く、信頼できる接着方法です。高温と高圧を長時間保持しなければならないため、非常に付加価値の高いこの接着方法を戸建ての制震部材に採用したのは、当社が初めてです」(松本氏)。

 世界的にも認められている加硫接着の採用により、MIRAIEの90年(*)という長期耐久性を実験で確認していると松本氏は説明する。

 こうして、MIRAIEの制震ダンパーが完成した。

(* 住友ゴム工業が実施した促進劣化試験の結果による)

高減衰ゴムと金属板は、この装置の中で長時間かけて加熱・加圧され、非常に強力な加硫接着された状態で出て来る
高減衰ゴムと金属板は、この装置の中で長時間かけて加熱・加圧され、非常に強力な加硫接着された状態で出て来る
MIRAIEの心臓部ともいえる制震ダンパー
MIRAIEの心臓部ともいえる制震ダンパー


 高減衰ゴムを使用した制震ダンパーは、手作業を必要とする工程もあるため、現在、橋梁用などすべて合わせて月9000~10000セットのペースで生産されているという。

 この制震ダンパーが、三角形の金属フレームに取り付けられて、MIRAIEが完成する。

 完成したMIRAIEは、1つ1つ、丁寧に梱包され、出荷される。

出来上がった制震ダンパーはMIRAIEに取り付けられ梱包される
出来上がった制震ダンパーはMIRAIEに取り付けられ梱包される

 制震ダンパーが、地震の揺れを吸収し、本震だけでなく何度も発生する余震からも住宅を守る耐久性を持つ高性能の高減衰ゴムがいかに作られるのかはわかった。そこには世界的にみても真似のできない高度な技術が練り込まれていたのだった。

 こうして作られた制震ダンパーは、地震の揺れを可能な限り制震ダンパーに入力(集中)させるように正しく住宅建築時に施工される必要がある。

 住友ゴム工業では、独自にマニュアルを作成し、「施工時の配置ルール」を設定、一棟あたりの設置数も最小限で済むという。次回は制震ダンパーが実際に施工される現場リポートする。