写真は検査時築21年のマンションの外壁だ。共用廊下の天井部分で、エキスパンションジョイントと梁との取り合い部からエフロレッセンスが発生し、タイル表面に垂れ落ちている。

第1問

検査時築21年のマンションの外壁(写真:住宅検査保証協会)
検査時築21年のマンションの外壁(写真:住宅検査保証協会)

 そこで問題。上の写真で見られる現象について補修の必要性を判断する場合、下記のA~Eのうち最も適当なのはどれか。

  • A:指摘のみ…建物の機能・性能上の問題に結び付かない軽微な不具合。清掃など日常の維持管理で対応できるレベルの問題。
  • B:要経過観察…兆候はあっても緊急の補修や原因についての詳細調査を要しないレベルの不具合。想定内の経年劣化も含む。居住者自身による日常の点検や応急補修で事足りるレベル。
  • C:要補修…大規模修繕工事を待たずに補修すべきレベルの不具合。原因を特定できる場合の本格的な補修と特定できない場合の応急補修に分かれる。応急補修の場合は将来の本格的な補修のため、原因についての詳細調査を伴う。
  • D:要詳細調査…原因を特定しないとただ補修しても再補修を繰り返す恐れが高いレベルの不具合。構造上の問題に結び付く不具合も含む。
  • E:要更新もしくは要補強・要改修…補修では間に合わず、また日常の維持管理で点検・交換できるような部位ではない不具合。部位丸ごとの更新をはじめ、補強や改修、建て替えを検討する必要があるレベルの不具合。

 解答は次のページ(下部にボタンあり)に掲載、さらに6問を載せた。5つの選択肢についての詳細な定義は、最終ページで解説している。

 写真は住宅検査保証協会(東京都墨田区、大場喜和代表)が最近6年間に「建物検査」を実施したマンション約1200件の検査報告書から選んだものだ。通常のマンションで起こりがちな不具合・劣化の現象がまとまって現れている約70件の報告書を同社が選び出し、報告書の「検査指摘箇所・参考補修方法」のページから編集部が写真を選別、編集した。

 詳しい情報を日経アーキテクチュア・プレミアム会員限定で公開している。[こちらから](ネタバレ注意)

 さらなる詳細は日経アーキテクチュアが発行した書籍「建築検査のプロが指摘する マンションの不具合・劣化 総覧」に掲載している。主要部位別に全体を7章に分け、約900枚の写真を載せた。