フラメンコや闘牛の発祥の地であり、最もスペインらしいスペインといえる、アンダルシア。アルハンブラ宮殿など、イスラムの影響を強く受けた建築も現存している。

LEED事前認証でプラチナを獲得した「パルマス・アルタス・キャンパス」

 その州都セビリアに、アベンゴアという環境エネルギー関連事業を手掛ける企業の本社「パルマス・アルタス・キャンパス」が完成した。

アベンゴア社、パルマス・アルタス・キャンパス全景。意匠設計は、ロジャース・スティーク・ハーバー・アンド・パートナーズ、ヴィダル・イ・アソシアドス・アルキテクトス。アラップは構造、設備、ファサード、火災安全計画、サステイナビリティ・コンサルティングの各エンジニアリングを行った。入口に象徴的な集光器が立っている(写真: Victor Sájara)
アベンゴア社、パルマス・アルタス・キャンパス全景。意匠設計は、ロジャース・スティーク・ハーバー・アンド・パートナーズ、ヴィダル・イ・アソシアドス・アルキテクトス。アラップは構造、設備、ファサード、火災安全計画、サステイナビリティ・コンサルティングの各エンジニアリングを行った。入口に象徴的な集光器が立っている(写真: Victor Sájara)

 ヨーロッパで環境先進国といえば、ドイツや北欧の国々をイメージされるかもしれないが、スペインでも暑さ対策で工夫されているプロジェクトが多い。LEED(米国発の建築環境性能評価指標)の登録物件数だけを見れば、スペインは155件ある。ちなみに、日本81件、ドイツ299件、イギリス138件、フィンランド122件、オランダ25件、スウェーデン106件、中国1178件、インド407件、といった具合である(2013年3月4日時点の米国グリーンビルディング協会の公表データによる)。本建物も、LEEDの事前認証でプラチナを獲得している。

 パルマス・アルタス・キャンパスは延べ面積約2万8000m2、テナント用としてのオフィスが約2万m2、全体で約10万m2の巨大開発である。様々な案を検討した結果、4層程度のコンパクトな建物を複数配置する形となっている。

本文では触れないが、ファサードにも様々な工夫がされていることがわかる(写真: Victor Sájara)
本文では触れないが、ファサードにも様々な工夫がされていることがわかる(写真: Victor Sájara)

 ここでは様々な環境配慮が行われており、枚挙にいとまが無いが、“伝統的な手法”と“現代的な手法”をそれぞれご紹介したい。