「花びら」のように円形に並んだ巨大なプレキャストコンクリート(PCa)板が、ついに開いた――。昨年12月12日配信の「“花びら”開いて大空間」で紹介した「羽田クロノゲート」のフォーラム棟。PCa板が外側に倒れる力を利用して、鉄骨の屋根を持ち上げる「アップリフト」の作業が、昨年12月25日に行われた。定点観測カメラによって30分間隔で撮影した写真を見ると、花開く様子が一目瞭然だ。

 まずは定点観測した写真をご覧いただこう。アップリフトは午前9時半ごろに始まった。徐々にPCa板が倒れて鉄骨屋根が引き上がり、日が沈んだ午後6時前までに8.0m上昇して、所定の高さに到達した。

 羽田クロノゲートはヤマト運輸が約1400億円を投じて整備する物流ターミナル。設計を日建設計が、施工を鹿島が担当している。フォーラム棟は地域住民などが使用できる地域貢献施設の1つで、体育館とセレモニー施設の機能を兼ねる。

羽田クロノゲートのイメージパース。完成すればヤマトグループ最大規模となる物流施設だ。羽田空港に隣接する約10万m2の敷地に、延べ面積約14万m2の物流棟、約2万m2の事務棟など計6つの建物を整備する(資料:日建設計)
羽田クロノゲートのイメージパース。完成すればヤマトグループ最大規模となる物流施設だ。羽田空港に隣接する約10万m2の敷地に、延べ面積約14万m2の物流棟、約2万m2の事務棟など計6つの建物を整備する(資料:日建設計)

アップリフト構法を表したステップ図。PCaの自重で屋根を持ち上げる(資料:日建設計)
アップリフト構法を表したステップ図。PCaの自重で屋根を持ち上げる(資料:日建設計)
フォーラム棟の屋根伏図。スパンは約60mだ(資料:日建設計)
フォーラム棟の屋根伏図。スパンは約60mだ(資料:日建設計)

 次からは、図や写真をもとに当日の作業工程を説明する。