東京ビッグサイトを増築

 さらに、都が事業主体となって、臨海部にオリンピックアクアティクスセンターや夢の島ユース・プラザ・アリーナ、有明アリーナなどの施設を新設する。メディアセンターとして使う東京ビッグサイトは、既設の西展示棟南側に延べ面積約4万4000m2を増築する予定だ。一部の仮設施設は大会終了後、移設することも検討する。これら施設の設計や工事の発注は、WTO(世界貿易機関)対象の一般競争入札を原則とする方針だ。

国際放送センター・メインプレスセンター(資料:東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会)
国際放送センター・メインプレスセンター(資料:東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会)

全ての施設でCASBEEのSランク

 立候補ファイルでは、環境・防災面での取り組みを強調した。新設・改修される全ての競技会場や施設は、都の建築物環境計画書制度の基準を満たすとともに、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)のSランクの認証評価の取得を目指すことを盛り込んだ。地震や津波などの災害、電力不足の懸念に対する備えも万全だと強調した。

 都などは五輪招致に合わせて、道路網などインフラ整備を進める。整備中の3環状道路のうち、首都高速中央環状品川線が2013年度に完成する。2020年には3環状道路の約9割が完成する予定で、都内の交通渋滞が緩和されるとしている。また、首都高速晴海線が2015年度に、環状第2号線が2020年までに完成し、選手村から競技会場へのアクセスが向上するとしている。選手村の最寄り駅となる都営大江戸線の勝どき駅では駅施設が改良される。

 五輪招致は、東京の国際競争力の向上への起爆剤になると期待されている。12年10月に森記念財団が公表した「世界の都市総合力ランキング2012」では、五輪関連のプレイベントの開催や宿泊施設の整備などによって英国・ロンドンが評価を上げ、米国・ニューヨークを抜いて初めて1位となった。一方、東京は4位で、近年、成長著しいアジアの大都市との差が縮まる傾向にある。五輪招致を目指す各都市の比較では、東京はマドリード、イスタンブールに比べて群を抜いた都市力を持っているとする一方、集客資源、交通利便性、一定水準以上の宿泊施設といった個別指標では後れをとっているものがあると指摘していた。

 猪瀬知事は1月10日にロンドンで開いた会見で、「昨年、ロンドンは、成熟した都市が開催都市になることのメリットを証明した。我々もまた、2020年、東京でそれを証明できると思っている」と語った。今回提示された青写真をもとに、9月の開催都市決定まで招致活動が本格化する。