東京都防災会議の被害予測

 東京都防災会議は、2012年4月に、「東京湾北部地震M7.3」、「元禄型関東地震M8.2」、「立川断層帯地震M7.4」、「多摩直下地震M7.3」という4タイプの震源モデルを想定して、震度および被害予測を行った。

 東京区部のなかでは、例えば、練馬区では6強以上の震度が予測されていない。であるのなら、この「首都直下地震等マップ」を参考にして、練馬区を居住地に決めるのは、賢い選択なのだろうか。

 日本建築学会構造委員会が、2012年に開催したシンポジウム「増大する地震動レベルと今後の耐震設計」の席上、筆者の質問に対して、東京大学地震研究所の纐纈一起(こうけつ・かずき)教授は、「それは科学的ではない」と回答した。

 なぜなら、中央防災会議が、2005年に、首都直下地震に関して18タイプの震源モデルを想定して、被害想定を実施。そのうち、都心西部直下地震と都心東部直下地震に対して、練馬区のかなり広い地域で震度6強が表れているからである。

 「震源モデルをどう選択するかで、地震動予測は大きく異なってしまう。首都直下地震等マップが、一人歩きすることを懸念している」(纐纈教授)。