「菊竹清訓を観る、語る」も開催

 そのときの印象を描いたのが下のイラストだ。

東光園をリポートしたイラスト。書籍「菊竹清訓巡礼」より(イラスト:宮沢 洋)
東光園をリポートしたイラスト。書籍「菊竹清訓巡礼」より(イラスト:宮沢 洋)

 東光園は肉・魚・野菜が溶け合った“高級煮込み”である──と、7年前に筆者は描いた。この表現に、先の伊東氏のコメントと重なるものを感じ、ちょっとうれしくなった。繰り返すと、伊東氏はこう話していた。

 「東光園には、屋根の造形(シェル)、エレベーターと階段の複雑な取り付き方、上からつられている部屋と下から立ち上がっている部屋……と、いろいろな要素が混在している。それらが強い鳥居というモチーフによって、かろうじて統合されている」(伊東氏)

 イラストリポートの詳細は、12月17日に発刊した書籍「菊竹清訓巡礼」に掲載しているので、ぜひ書籍を手にとってごらんいただきたい(詳細はこちら)。

書籍「菊竹清訓巡礼」の表紙
書籍「菊竹清訓巡礼」の表紙

 また、菊竹建築の魅力をより多くの人に知ってもらうために、2013年1月18日に出版記念イベント「菊竹清訓を観る、語る」を開催する(詳細はこちら)。会場は菊竹氏が設計した江戸東京博物館の1階ホール。残念ながら伊東氏は参加できないが、OBの遠藤勝勧氏、仙田満氏、長谷川逸子氏、内藤廣氏の4人が参加予定だ。そちらにも足をお運びいただきたい。

 ちなみに、伊東氏以外のOBが選んだ「私の心に残るこの一作」は、日経アーキテクチュア・プレミアム」で12月25日から順次公開する(こちら)。ここでは、OB以外の関係者(例えば堤清二氏など)が選んだ「この一作」も紹介する予定だ。