開業30周年を迎えた京都センチュリーホテルが、吹き抜けのアトリウムロビーに、新たな顔としてレストラン「京都センチュリーホテル オールデイダイニング ラジョウ」を新設した。多面的な要素を持ったコンプレックスレストランであると同時に、デザインコンセプトとしたのは「X=CROSS(クロス)」。古き良きホテルとしての香りを残しながら、現代的なデザイン要素を掛け合わせることに挑んだ。何よりも目を引くのは、高さ4.8mにも及ぶ巨大なランプ「かんじんの京灯り」。圧倒的な量の光を確保でき、ホテルの象徴となり、また京都の伝統工芸を現代的な形で発信するためのモニュメントとして設けられた。

着物作家の斉藤上太郎氏の指揮の下、京都のさまざまな職人によって作り上げられた「かんじんの京灯り」が中央に鎮座する。吹き抜けの壁に掛かる大きなタペストリーは「新世紀京都華絵地図」。階上の客室廊下からも鳥瞰を楽しめる(写真:ナカサアンドパートナーズ)
着物作家の斉藤上太郎氏の指揮の下、京都のさまざまな職人によって作り上げられた「かんじんの京灯り」が中央に鎮座する。吹き抜けの壁に掛かる大きなタペストリーは「新世紀京都華絵地図」。階上の客室廊下からも鳥瞰を楽しめる(写真:ナカサアンドパートナーズ)

支柱は仏具の金工職人による銅のヘラ絞り。シェード外周には木工職人によって切り抜かれた、京都の山並みをモチーフにした姫小松の細工。シェード内側はオリジナル文様の西陣織。LEDを使った照明は京行灯職人によって作られた(写真:ナカサアンドパートナーズ)
支柱は仏具の金工職人による銅のヘラ絞り。シェード外周には木工職人によって切り抜かれた、京都の山並みをモチーフにした姫小松の細工。シェード内側はオリジナル文様の西陣織。LEDを使った照明は京行灯職人によって作られた(写真:ナカサアンドパートナーズ)

スプリンクラー装備のために設けた屋根だが、それを上手く生かし、小屋組のような空間を構築した。ブロンズエージング塗装を施すことで、空間になじむ質感に。いすとテーブルは特注品。緩やかに湾曲したいすの背は、小ぶりながらもホールド感がある(写真:ナカサアンドパートナーズ)
スプリンクラー装備のために設けた屋根だが、それを上手く生かし、小屋組のような空間を構築した。ブロンズエージング塗装を施すことで、空間になじむ質感に。いすとテーブルは特注品。緩やかに湾曲したいすの背は、小ぶりながらもホールド感がある(写真:ナカサアンドパートナーズ)

店名 京都センチュリーホテル オールデイダイニング ラジョウ

  • 業態:レストラン
  • 所在地:京都府京都市下京区東塩小路町680
  • URL:http://www.kyoto-centuryhotel.co.jp/
  • 営業時間:7:00~22:30(L.O.22:00)
  • 定休日:無休
  • 内装設計:日建スペースデザイン
  • 協力:スタイルマテック松本設計室(照明計画)、斉藤上太郎(「かんじんの京灯り」製作)
  • 施工:村本建設、Jフロント建装、フジマック
  • 床面積:330m2
  • 客席数:99席

杉江あこ=ライター

 本記事は、有料メールマガジン「日経デザイン Pick's インテリアデザイン―商空 間・超速便」vol.8(2012年10月10日配信)より抜粋。日経デザインは、画像で“見る”メルマガ「日経デザイン Pick's インテリアデザイン―商 空間・超速便」のサービスを開始いたしました。写真提供は、商空間のデザインを熟知した写真家集団「ナカサアンドパートナーズ」。注目のショップ&レストランの最新デザインを、“超速便”でお届けし、ポイントを解説します。

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